修正申告や期限後申告に係る本税が保険金の支払対象に
平成19年7月1日から税理士賠償保険の約款が改正
平成19年7月1日から税理士賠償保険(税理士職業賠償責任保険)の約款が改正される。
これまで補償対象外とされていた修正申告に係る本税が補償範囲に含まれることとなるほか、やはり補償対象外とされていた期限後申告・期限後納付に係る本税も補償対象となる。
ただし、今回の約款見直しにより、税理士賠償保険の保険料は前年比1.4倍に引き上げられる。
簡易課税制度選択不適用届出の提出の失念等による過大納付も補償対象に
税理士賠償保険にはこれまでに27,000事務所が加入しているが、従来は修正申告に係る本税が適用対象外とされていたことなどから、一部には「あまりメリットがない」との意見もあった。
こうしたなか、2007年7月1日より税理士賠償保険の約款が改正されることになり、これまで補償対象外とされていた修正申告に係る本税のほか、期限後申告・期限後納付に係る本税についても補償対象となる。
保険事故としてよくみられる「消費税の簡易課税制度選択不適用届出書の提出の失念」を例にとって説明しよう。
これまでは、たとえば同届出書を提出したものと勘違いして原則課税方式で消費税の還付申告を行い、その後、同届出書の未提出を税務署に指摘されて、簡易課税方式により修正申告を行った場合、過大納付となった消費税については、「修正申告により納付する本税」であることから、税理士賠償保険の補償対象外とされてきた(特別約款5条2項)。
しかし、平成19年7月1日以降は、「税理士の過失がなければ納付を免れることができたもの」である上記のような「修正申告によって納付する本税」は、補償対象とされることになる。
原因・事由ごとに填補限度額・免責額を判断
このように「税理士の過失がなければ納付を免れることができたもの」が新たに補償対象とされる一方で、「税理士の過失とは関係のない本来納付すべき本税」については、引き続き補償対象外となる。もっとも、「税理士の過失とは関係のない本来納付すべき本税」は本来納付すべき税額であり、損害賠償請求の対象とはならない。
このほか、保険金の請求単位も見直される。これまでは、顧客ごとに填補限度額・免責額が決められていたが、平成19年7月1日以降は、「同一の原因・事由」ごととする。これにより、同一の顧客からの損害賠償請求であっても、原因・事由が異なっていれば、“別モノ”として填補限度額・免責額が適用されることになる。
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キーワード 「修正申告」+「本税」⇒49件
(週刊「T&A master」211号(2007.5.21「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2007.6.27 ビジネスメールUP!
1003号より
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