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事業実態が確認内容と相違なら過年度の剰余金に遡って課税も
公益法人の「実費弁償方式」で課税当局方針

 

 公益法人が行う事業について「実費弁償方式」が認められた場合には、当該事業は収益事業に該当しないこととされているが、課税当局は、過去に実費弁償方式について税務署等の確認が行われた場合であっても、引き続き事業内容等の的確な把握に努めることや、実費弁償方式の確認を受けた後であっても、事業の実態が確認内容と大きく相違しているような場合には、過去の事業年度において生じた剰余金にも遡って課税するとの方針を持っていることが本誌の取材で明らかになった。

確認の際には「剰余金」を精査
 法人税法上、公益法人が対価を得て事務処理の受託の性質を有する業務を行う場合であっても、その対価が、実費弁償(その委託により委託者から受ける金額が当該業務のために必要な費用の額を超えないこと)の範囲であることについて所轄税務署長等の確認を受けた場合には、当該業務は「収益事業」として取り扱わないこととされている(法基通15−1−28)。
 確認申請では、事業の内容、計算方式・精算方法などが審査のポイントとなる。なかでも、「剰余金」の額は精査されることになろう。剰余金の額は、「その業務の遂行上通常必要と認められる経費のおおむね1か月分をまかなえる程度」であれば問題にならない。ただし、ここでいう剰余金とは、単年度ではなく累積剰余金を指すほか、剰余金と比較される「その業務の遂行上通常必要と認められる経費」には、法人税法上損金不算入となる役員給与、任意積立金繰入損(固定資産取得積立預金支出)等は含まれない点にも要注意だ。

確認取消しは局の法人課税課審査指導係に連絡
 実費弁償方式について税務署から一度確認を受けたとしても、そのことで永久に実費弁償方式が保証されるわけではない。
 実費弁償方式に関する税務署の確認は一定の期間(おおむね5年以内)に限るとされているが、課税当局は、たとえ過去に当局により確認が行われた場合であっても、「形式的な審査にとどまることなく、事業内容等の的確な把握」に努めるとしている。
 また、実費弁償方式の確認を受けた後であっても、事業の実態が確認内容と大きく相違しており、実費弁償方式と認められない状態となった場合には、早期に是正措置を講ずるよう指導が行われることになる。この場合、過去の事業年度に生じた剰余金についても遡って課税される恐れがあるので注意する必要がある。
 ただ、実費弁償方式の確認を取り消す場合には、事前に国税局の法人課税課審査指導係に連絡することになっており、確認取消しには慎重を期す姿勢がうかがえる。

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  キーワード 「課税当局」+「方針」⇒19

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登録日
プレミアム税務 事前確定届出書の期限後提出に対し組合等に宥恕規定を適用へ 2007年 07月 02日
解説記事 中小企業のための役員給与税制Q&A 2007年 06月 04日
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2006年 07月 24日

資料 税制調査会 第32回総会(6月21日開催)議事録 2005年 08月 15日
オフィシャル税務 全面改定となる日英新租税条約が基本合意

2005年 07月 11日

(以上、最新順)

週刊「T&A master」214号(2007.6.11「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2007.7.18 ビジネスメールUP! 1011号より )

 

 
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