益金計上した商品券等の未使用残高、再度引当金計上も
法人税と企業会計で乖離が発生
日本公認会計士協会は4月13日、「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金に関する監査上の取扱い」を公表したが、このなかで、商品券やプリペイドカード等の前払証票について、「19年4月1日以後に開始する事業年度」においては、将来回収可能性がある限り、未回収残高全額を留保することとした取扱いに関係業界は高い関心を持っている。
これは、多くの企業が、法人税基本通達2−1−39の規定に従って、商品券やプリペイドカード等の発行年度から5年目の未使用残高を全額当該事業年度の益金に算入しているため。
監査上の取扱いの明確化に伴い、企業は過去に法人税の規定に従って益金計上したものについても再度引当金の計上を求められることになりそうだ。
過年度分についても引当金計上?
法人税法上、商品券やプリペイドカード等を発行した法人は、原則として、商品券等に係る対価を受領した場合における当該対価の額を、当該商品券等を発行した日の属する事業年度の益金の額に算入することとされる。その一方で、商品の引渡し等があった日の属する事業年度において収益計上することも例外的に認められているが、この場合、「その発行に係る事業年度終了の日の翌日から3年を経過した日の属する事業年度終了の時において商品の引渡し等が終わっていない商品券等に係る対価の額」、つまり、発行年度から5年目の未使用残高を全額当該事業年度の益金の額に算入しなければならないこととされている(法基通2−1−39)。
これに対し、日本公認会計士協会が4月13日に公表した「租税特別措置法上の準備金及び特別法上の引当金又は準備金に関する監査上の取扱い」(監査第一委員会報告第42号)では、商品券やプリペイドカード等の前払証票について、「19年4月1日以後に開始する事業年度」においては、将来回収可能性がある限り、未回収残高全額を留保することとしている。
この取扱いにより問題となっているのが、法人税法と企業会計の乖離だ。
多くの企業は、税法基準(益金計上)を採用しているものと思われるが、監査上の取扱いの明確化に伴い、過去に法人税法の規定に従って益金計上したものについても、企業会計原則注解(注解18)の引当金の要件に該当するものであれば、あくまで引当金を計上しなければならない模様。さらに、監査委員会報告第42号の趣旨からすると、平成19年4月1日以後開始事業年度からのみならず、過年度分を含めて引当金計上を求められる可能性もありそうだ。
関係業界は、対応を迫られることになろう。
※
記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
⇒著作権等について
T&Amaster 読者限定サイト
検索結果(注:閲覧には読者IDとパスワードが必要になります)⇒ID・パスの取得方法
キーワード 「引当金計上」⇒26件
(週刊「T&A master」230号(2007.10.8「今週のニュース」より転載)
(分類:会計 2007.11.28 ビジネスメールUP!
1061号より
)
|