平成20年4月1日から適用の四半期レビュー実務指針が正式決定
会計士協会、四半期レビュー報告書の文例なども公表
日本公認会計士協会は10月30日、監査・保証実務委員会報告第83号「四半期レビューに関する実務指針」を公表した(原文は同協会のホームページから入手可能)。平成20年4月1日以後開始する事業年度等に係る四半期財務諸表等から四半期レビューが実施されるが、その監査上の留意点や四半期レビュー報告書の文例、経営者確認書の記載例などを示している(本誌228号、229号参照)。
第1四半期レビュー手続開始前で契約必要
まず、ポイントとなるのが四半期レビュー契約の締結だ。四半期レビューについては、年度の財務諸表の監査人と同一の監査人が行うことになるため、監査契約と同時に四半期レビューの契約を締結することも可能であるとしている。
特に第1四半期会計期間末日は、前年度の財務諸表の監査終了後に到来するため、第1四半期会計期間に係る四半期レビュー手続開始前に契約内容について合意しておく必要があるとしている。
年度監査の重要性の基準値が上限
次のポイントは重要性の基準値だ。実務上、四半期レビューは、年度の財務諸表監査を前提として実施されるものであるため、四半期レビューに係る重要性の基準値についても、年度の財務諸表監査に係る重要性の基準値を適用することが合理的であるとした。そのうえで、少なくとも、年度の財務諸表監査に係る重要性の基準値を上限とすべきとしている。年度の財務諸表監査に係る重要性の基準値を超えた場合には、年度の財務諸表監査において各四半期の取引や勘定について行うべき監査手続を適時にかつ効果的に実施することを計画できないとしている。
前事業年度の継続企業の前提の疑義に留意
四半期レビューは、質問、分析的手続その他の四半期レビュー手続に限定されているが、実務指針では、具体的な四半期レビュー手続となる8項目を示している(下記参照)。
このうち、(6)の追加的な手続は、質問および分析的手続等の四半期レビュー手続を行った結果、監査人が四半期財務諸表について、企業の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況を重要な点において適正に表示していない事項が存在する可能性が高いと認められる場合、または疑義が生じた場合に行うものであるとしている。たとえば、重大な売上取引に関して一般に公正妥当と認められる四半期財務諸表の作成基準に準拠しているかどうかについて疑義が認められた場合が該当する。
また、(8)の継続企業の前提に係る四半期レビュー手続については、特に前事業年度の決算日において継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象または状況に大きな変化がある場合の検討に際しては、状況が悪化したうえでなお少なくとも1年間にわたる事業活動の継続性に関して四半期財務諸表の作成基準に準拠して適正に表示していないと信じさせる事項が認められるかどうかについて検討することになる。
重要な子会社等の場合は往査等を実施
そのほか、子会社等に対する四半期レビュー手続では、重要な子会社等の場合には、往査するか他の監査人を利用して、質問、分析的手続等を実施する。一方、重要な子会社等に該当しない場合には、親会社において質問、分析的手続等を中心に四半期レビュー手続を行うことになる。
特に重要な子会社等とは、@相当規模の会社(売上高構成率、資産構成率、連結剰余金構成率等からみて相当規模と認められる場合)、A重要な虚偽表示のリスクの程度が高いと評価される会社(投機的なデリバティブ取引を行っている場合、前年度または前四半期に重要な虚偽の表示が発見された場合、重要な偶発事象等がある場合、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況が存在する場合)が該当する。また、純粋持株会社の事業子会社は、通常、特に重要な子会社等に該当するとしている。
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(週刊「T&A master」233号(2007.11.5「今週のニュース」より転載)
(分類:会計 2007.12.19 ビジネスメールUP!
1070号より
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