著作権等について会社概要質問・お問い合せサイトマップ

 

役員の定期給与を前払いした場合、定期同額給与に該当せず
前払金は貸付金、賞与と認定される可能性が高く

 本誌では、これまで定期同額給与の判定につき給与を未払計上したケース(本誌224号7頁参照)などを取り上げてきた。一方、役員に対する定期給与を総会決議後の支給時期において前払いで支払った場合の定期同額給与の判定についても問題が生じている。
 この定期同額給与の判定で当局は、役員給与が前払いされているケースについては、通常、当該役員に「一時金が必要だった」と判断するとしており、その場合、前払金は貸付金または賞与と認定されることになるので注意が必要だ。

役員に定期給与を前払いしたケース
 定期同額給与の意義については、法基通9−2−12に次のように定められている。

法第34条第1項第1号《定期同額給与》の「その支給時期が1月以下の一定の期間ごと」である給与とは、あらかじめ定められた支給基準(慣習によるものを含む。)に基づいて、毎日、毎週、毎月のように月以下の期間を単位として規則的に反復又は継続して支給されるものをいう(以下略)。

 定期同額給与に該当するかどうかの判定で問題となるのが、役員に対する定期給与の額を株主総会で決議した後の支給時期において、当該役員に対してその定期給与の額を前払いで支払った場合だ。具体的には、以下のようなケースが考えられる。
@ 3月決算法人であるA社が5月の株主総会で代表取締役Xの年間の役員報酬額を1,200万円と決議した。
A 株主総会後の最初の支給時期である6月末に100万円の役員給与を支払い、残り11回分1,100万円を前払金とする処理を行った。
 なお、代表取締役Xには合計1,200万円の現金を渡している。
B 7月以降は月末に、
役員給与100万円/前払金100万円の処理を行った。

前払いした理由が問われることに
 上記ケースにおいては、7月以降も代表取締役Xに対する役員給与の額(100万円)が毎月一定となっていることから、定期同額給与に該当するのではないかと考えることもできよう。
 しかし、税務調査等においては、A社が代表取締役Xに対して6月末に役員給与を前払いした理由が問われることになり、通常、Xに一時金が必要だったと判断されることになるようだ。
 したがって、上記ケースでの代表取締役Xに対する前払金については、当局から貸付金または賞与と認定される可能性が高くなるので注意しておきたい。

  ※ 記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
  ⇒著作権等について

 

  T&Amaster 読者限定サイト 検索結果(注:閲覧には読者IDとパスワードが必要になります)ID・パスの取得方法
  キーワード 「役員 定期給与」⇒24

分類

タイトル
登録日
コラム 定期同額給与 2008年 05月 26日
プレミアム税務 融資担当者が定期給与の減額要求、業績悪化改定事由の判定は 2008年 05月 19日
解説記事 役員給与課税の本質を衝く!(後)

2008年 04月 21日

プレミアム税務 届出に係る職務執行開始日の取扱い廃止も、定期同額給与に影響なし

2008年 02月 25日

解説記事 事業年度・役員給与に係る法人税基本通達の一部改正について

2008年 01月 28日

オフィシャル税務 リースや役員給与など、19年度改正対応の法人税基本通達が公表

2007年 12月 27日

(以上、最新順)

週刊「T&A master」259号(2008.5.26「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2008.7.4 ビジネスメールUP! 1144号より )

 

 
過去のニュース、コラムを検索できます
 Copyright(C) LOTUS21.Co.,Ltd. 2000-2023. All rights reserved.
 全ての記事、画像、コンテンツに係る著作権は株式会社ロータス21に帰属します。無断転載、無断引用を禁じます。
 このホームページに関するご意見、お問合せはinfo@lotus21.co.jp まで