どうして医療法人が問題となるの?

 「医療法人を出資の払戻し額だけで評価すべきとは思えないんだよ。」金吉

先週は医療法人に関する税制の整備について議論していた父娘が、今週は医療法人の出資の評価を巡る裁判について議論しています。

 「お父さん、医療法人については制度の転換期ということもあって、いろいろな問題が起きているわね。基本財産と運用財産を区分して、運用財産のみを基に純資産価額方式で評価額を算定した、先週のT&Aに掲載されていた事案についてはどう思っているの?」

石部みどり税理士は医療法人に関する評価が争われた事案に関心を持ち始めた様子です。

 「あれはとても興味深い事案だね。医療法人については、出資額限度法人への移行、すなわち、定款変更の有効性が争われた事案はあるけど、みなし贈与課税では、評価額がまともな争点になるんだよね。」

石部金吉税理士も大いに関心を示しています。

「相続が発生して、実際に出資額や運用財産のみを基にして払戻しが行われたならば、払戻し額での評価という方法があるけれど、この事案は、払戻しが行われたわけではなくて、1口5万円での出資に応じただけなのよね。」

「医療法人に対する厚生労働省の見方と国税庁の見方が対立してしまっているんだよね。厚労省は医療の観点から医療法人をみるから、出資者の財産権が侵害されていることに関心を示さないし、国税庁は出資持分の財産的価値に関心があって、医療機関としての役割には関心を示していないんだ。」

「それはそうね。しかも、医療法人制度が医療法の改正によって、非営利の考え方に見直されているからややっこしいわ。」

「それでも僕はこの高裁判決には納得できないね。仮に払戻し額が運用財産のみになるとしても、実際に払い戻されたわけではないんだよ。控訴人らは、当該医療法人の経営権を守るために追加出資を引き受けているんだよ。当該医療法人の経営権にはそれなりの価値を自認していたと思うんだ。」

「定款に規定する払戻し額だけを根拠に評価額を算定しているからおかしいというわけね。でもそうすると持分の定めのない医療法人はどうなるのかしら?」

「それは新しい医療法でのことだと思うよ。この事案は平成10年のことだし、出資持分の考え方があったからこそ、追加出資をして、医療法人の経営権を守ろうとしているんだよ。それに、基本財産と運用財産の区分についても、それが厳格に行われているということがどうしても、僕には実感がわかないんだよね。」

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  キーワード 「医療法人 出資」⇒102

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コラム 進むも地獄、止まるも地獄、医療法人はどうなる? 2008年 07月 28日
コラム 社会医療法人の移行時にも贈与税のリスク

2008年 07月 07日

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(以上、最新順)  

週刊「T&A master」263号(2008.6.23「石部家の人びと―父と娘の税理士問答」より転載)

(分類:その他 2008.8.18 ビジネスメールUP! 1160号より )

 

 
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