東証のCG報告書、支配株主との取引開示充実は9月30日までに
7月7日現在の上場会社は支配株主の有無等を記載した書面を提出
東京証券取引所では上場契約違約金制度の導入や議決権種類株式の上場制度整備を柱とした上場制度改正を7月7日に施行(意見募集時の整備方針について、本誌257号16頁参照)。改正項目中には「支配株主との取引における開示の充実」があり、「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」記載要領も改訂されている。
支配株主との取引における開示の充実
今般の改正では、有価証券上場規程に「支配株主」の定義規定が新設され、「親会社又は議決権の過半数を直接若しくは間接に保有する者として施行規則で定める者」とされた(2条42号の2)。施行規則3条の2では、次の者が所有する議決権とを合わせて議決権の過半数を占める主要株主(親会社を除く)をいうと定められている。
@ 当該主要株主の近親者(2親等内の親族をいう)
A 当該主要株主および@の者が議決権の過半数を所有している会社等および当該会社等の子会社
このような支配株主を有する会社は、上場申請時に「当該支配株主との取引等を行う際における少数株主の保護の方策に関する指針」をCG報告書で開示しなければならず(施行規則211条6項1号等)、7月7日の施行日現在の上場会社のうち支配株主を有する会社にあっては、この指針の内容を反映したCG報告書を今年9月30日までに提出すべきものとされている。
併せて、親会社等に関する事項の開示を定めていた上場規程411条は「支配株主等に関する事項の開示」を「支配株主又は財務諸表等規則第8条第17項第4号に規定するその他の関係会社を有する上場会社は、事業年度経過後3か月以内に、施行規則で定める支配株主等に関する事項を開示しなければならない」と規定。支配株主等との前事業年度における取引に関する事項の開示のほか、上記指針に定める方策の履行状況を開示する(施行規則412条5号、6号)。
平成21年1月1日以後終了する事業年度の経過後に行う開示から適用されるが、施行日現在の上場会社は、支配株主の有無、有する場合の当該支配株主の名称等を記載した書面を今年9月30日までに提出する。
CG報告書記載要領の改訂
改訂された記載要領によると、上記指針の開示はCG報告書の冒頭で「基本的な考え方」等の基本情報を開示する「T」中の「4その他コーポレート・ガバナンスに重要な影響を与えうる特別な事情」で行う。
上記指針としては、支配株主等を利する取引により会社・少数株主を害することの防止を目的とした「社内体制構築の方針」「社内意思決定手続」「外部機関の利用」が例示的に列挙されている。
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(週刊「T&A master」267号(2008.7.21「今週のニュース」より転載)
(分類:会社法 2008.9.10 ビジネスメールUP!
1170号より
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