工場廃止による機械装置の移設費用一時の損金とならない可能性も
集中生産を行う等のための移設かどうか判断されることに
企業が不景気による経費削減を理由として工場を廃止し、その工場にあった機械装置を別の工場に移した場合の移設費用は一時の損金にできない可能性がある。工場の移設費用の取扱いについては、集中生産を行う等のための機械装置の移設費について定めた通達も含めて判断される。
不景気による経費削減のため移設
機械装置の移設費用については、法基通7−8−2(修繕費に含まれる費用)で修繕費に含まれるとされており、一般的に修繕費等としてその移設時の損金として処理することが認められている。そこで、法人が不景気による経費削減のために工場の1つを廃止し、その工場にあった機械装置を別の工場に移設した場合についても、その移設費用は修繕費等に該当して一時の損金とすることが可能と考えられるところだ。
調査では工場廃止の理由に着目
しかし、この移設費用に対する調査担当者の見方は別のようだ。つまり、税務調査においては、上記ケースで工場を廃止した理由が問われることになり、そこで当該機械装置を別の工場に移設する必要はなく、停止、廃棄等をすればよいといった捉え方をされることも考えられる。そうなると、当該工場の廃止による別の工場への機械装置の移設については、移設先の工場において集中生産を行う等のためと判断される可能性がある。
集中生産等のための移設費に係る定め
機械装置の移設が集中生産を行う等のためのものと判断された場合は、当該機械装置の移設費用の額について、その機械装置の取得価額に算入することになる(法基通7−3−12)。
なお、この場合においても、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下であるときは、当該移設費の額をその移設をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
法基通7−3−12(集中生産を行う等のための機械装置の移設費)要旨
集中生産又はよりよい立地条件において生産を行う等のため一の事業場の機械装置を他の事業場に移設した場合には、運賃、据付費等その移設に要した費用(移設費)の額はその機械装置の取得価額に算入し、当該機械装置の移設直前の帳簿価額のうちに含まれている据付費(旧据付費)に相当する金額は、損金の額に算入する。この場合において、その移設費の額の合計額が当該機械装置の移設直前の帳簿価額の10%に相当する金額以下であるときは、旧据付費に相当する金額を損金の額に算入しないで、当該移設費の額をその移設をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
※
記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
⇒著作権等について
T&Amaster 読者限定サイト
検索結果(注:閲覧には読者IDとパスワードが必要になります)⇒ID・パスの取得方法
キーワード 「工場 廃止」⇒62件
(週刊「T&A master」284号(2008.11.24「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2009.1.30 ビジネスメールUP!
1222号より
)
|