審判所、破産手続終結の決定により金銭債権の全額が滅失と判断
貸倒損失の損金算入において損金経理の必要なし

 法人が有する金銭債権について、債務者(法人)が破産手続終結の決定等を受けた場合について、国税不服審判所は、当該金銭債権の滅失は法律上の貸倒れと判断した(裁決事例集No.75(貸倒損失の帰属事業年度))。法基通9−6−1に破産法の規定による破産手続終結の決定等について掲げられていないが、当該貸倒損失の損金算入では損金経理は必要ないことになる。

金銭債権の貸倒れに関する通達の定め
 法人の有する金銭債権について、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金算入できる場合として、法基通9−6−1は、(1)会社更生法もしくは金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の規定による更生計画認可の決定または民事再生法の規定による再生計画認可の決定があった場合、(2)会社法の規定による特別清算に係る協定の認可の決定があった場合等を掲げている。しかし、破産法の規定による破産手続終結の決定等があった場合が掲げられていないことから、債務者(法人)が破産手続終結の決定を受けた場合の金銭債権に係る貸倒損失の損金算入に関して、疑問が生じている。具体的には、当該貸倒損失に法基通9−6−1は適用できず、事実上の貸倒れを定めた法基通9−6−2により、債権者は貸倒損失として損金経理を行う必要があるのではないかということだ。

金銭債権の全額が滅失したのは当然
 裁決事例で審判所は、当該貸倒損失について次のように判断している。「法人が所有する金銭債権が貸倒れとなったか否かは、第一次的には、その金銭債権全体が滅失したか否かによって判定され、その債権が滅失している場合には、法人がこれを貸倒れとして損金経理しているか否かにかかわらず、税務上はその債権が滅失した時点において損金の額に算入することとなる。……法人の破産手続においては、……裁判所が破産法人の財産がないことを公証のうえ、出すところの廃止決定または終結決定があり、当該法人の登記が閉鎖されることとされており、この決定等がなされた時点で、当該破産法人は消滅することからすると、この時点において、当然、破産法人に分配可能な財産はないのであり、当該決定等により法人が破産法人に対して有する金銭債権もその全額が滅失したとするのが相当であると解され、この時点が破産債権者にとって貸倒れの時点と考えられる。」
 これは審判所が、債務者が破産手続終結の決定等を受けた場合について、当該金銭債権の滅失が法律上の貸倒れに該当すると判断したものであり、債務者が破産手続終結の決定等を受けたことによる金銭債権に係る貸倒損失の損金算入においては、損金経理が要件とはならないことになる。

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週刊「T&A master」292号(2009.1.26「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2009.3.27 ビジネスメールUP! 1244号より )

 

 
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