法人組合員の職務執行者、要件を満たせば重要な使用人に該当せず
経済産業省、LLPのQ&Aを一部追加
経済産業省はこのほど、平成17年6月に公表した「LLPに関する40の質問と40の答え」に一部Q&Aを追加した(下記参照)。株式会社が組合員の場合、職務執行者の選任に取締役会決議が必要かどうかを問うものである。
内部的な決裁規程を設けている場合など
今回追加公表されたQ&Aによれば、LLP(有限責任事業組合)の法人組合員の職務執行者は原則として、会社法362条4項3号の「重要な使用人」に該当するが、内部的な決裁規程を設けている場合などにおいては、重要な使用人に当たらないと解釈することが適当である旨を明らかにしている。
ただし、職務執行者の法的性質に変更があるものではなく、職務執行者の行為が直接会社に帰属することになるため、選任・監督等において取締役に過失があれば当然取締役に任務懈怠責任が発生することになるとしている。
問41.株式会社が組合員の場合、職務執行者の選任には取締役会決議が必要ですか。
(答)
1.有限責任事業組合(以下「LLP」という。)の法人組合員の職務執行者は、事業に関し包括的な権限を有し、かつ、その行為による責任は出資額の限度なく直接法人に帰属するため会社に対して大きな影響が発生しうることから、原則、会社法第362条第4項第3号の「重要な使用人」に当たると考えられます。
2.しかしながら、運用実態をみると、職務執行者以外の決裁が必要とする職務執行者の業務執行に関する規程を設けることや、LLPの事業目的を限定することなどにより、会社に帰属しうる責任は実態上限定がなされている事例が多く存在しています。このような、会社に帰属する責任が実態上制限がなされている場合については、必ずしも一律に職務執行者の会社に与える影響が大きいといえず、このような場合には「重要な使用人」に当たらないと考えられます。
3.すなわち、職務執行者は、原則、重要な使用人に当たりますが、内部的な決裁規程を設けている場合などにおいては、重要な使用人に当たらないことと解釈することが適当であると考えられます。
4.なお、当然のことながら、職務執行者の法的性質に変更があるものではなく、職務執行者の行為が直接会社に帰属するため、選任・監督等において取締役に過失があれば当然取締役に任務懈怠責任が発生することとなります。十分この趣旨を踏まえて、職務執行者の選任、業務執行の権限に関する規定等の検討を行う必要があります。
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(週刊「T&A master」295号(2009.2.16「今週のニュース」より転載)
(分類:会社法 2009.4.20 ビジネスメールUP!
1254号より
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