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匿名組合契約に係る出資の評価額は契約終了とした場合の清算金相当額
審判所、株式評価額を零円とする請求人の主張を退ける

 匿名組合契約への出資を有する会社の株式の評価について、国税不服審判所は、匿名組合契約に係る出資の評価額は、課税時期において、その匿名組合契約が終了したものとした場合に匿名組合員が分配を受けることができる清算金の額に相当する金額と解するのが相当と判断した。
 請求人は、匿名組合契約に係る出資はマイナス評価となり零円、投資未払金は債務としてそのまま計上されるため会社は債務超過となるなどと主張したが、退けられている(東裁(諸)平20第20号)。

会計原則に従えば債務超過と主張
 請求人は請求人の父(贈与者)から平成13年中に当該会社の株式を贈与により取得し、その評価額は零円になることから申告義務がないとして贈与税の申告書を提出しなかった。これに対して原処分庁は、贈与税の決定処分および無申告加算税の賦課決定処分を行った。請求人は、当該株式の評価額について、以下のように主張している。「贈与当時の会計原則に従えば、本件会社の匿名組合契約に係る出資はマイナス評価になるため零円となり、投資未払金は債務としてそのまま計上することとなるため、本件会社は債務超過となり本件株式の評価額は零円となる。したがって、本件決定処分は課税の実質的根拠を欠き違法である。」
 原処分庁は、純資産価額方式によって株式を評価する場合、匿名組合契約に係る出資については、課税時期において匿名組合契約が終了したものとした場合に分配を受けることができる清算金の額に相当する金額により評価するのが相当と主張した。

企業会計上の純資産価額と同視できず
 審判所は、匿名組合契約に係る出資者の権利について、営業者に対する利益配当請求権と匿名組合契約終了時における出資返還請求権が一体となった権利とし、評価通達に具体的な定めがないその評価方法については、以下のように判断した。
 「匿名組合契約に係る出資という財産の価額は、契約により匿名組合員が損失を分担しない旨定めた場合を除き、出資金を含めた匿名組合契約に基づく営業者のすべての財産および債務を対象として、課税時期において、その匿名組合契約が終了したものとした場合に、匿名組合員が分配を受けることができる清算金の額に相当する金額と評価することが相当であり、その価額は、営業者の事業継続期間中の企業会計上の純資産価額と一致しないこととなるが、これは、企業会計上、事業継続期間中の各計算期間においてはリース物件の時価換算をしないことによる当然の結果である。したがって、課税時期における匿名組合契約に係る出資の価額を営業者の企業会計上の純資産価額と同視することはできない。」

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登録日
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(以上、最新順)

週刊「T&A master」297号(2009.3.2「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2009.5.11 ビジネスメールUP! 1259号より )

 

 
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