REITの合併は共同事業のための合併として税制適格合併に
国税庁、REIT合併に係る税務上の取扱いを明らかに
REIT同士の合併が取りざたされるなか、ネックとなってきたのが税制だ。
本誌281号(2008年11月3日刊行)では、REIT同士の合併は「共同事業のための再編」として適格再編に該当する旨報じたところだが、国税庁は3月25日に「投資法人が共同で事業を営むための合併を行う場合の適格判定について」と題する金融庁からの照会事例を公表、本誌既報のとおり、REIT同士の合併は「共同事業のための再編」として適格合併に該当することなどを明らかにしている。
従業者のいないREITでも従業員引継要件を充足
REIT同士の合併においては、主に2つの点が税務上のネックとして指摘されてきた。1つは会計と税務の差異により導管性要件を充足できないリスクだ。この点、平成21年度税制改正により、これまで「(税務上の)配当可能所得の90%超の配当」としていた導管性要件が、「(会計上の)配当可能利益の90%超の配当」に改正されたことにより、導管性要件を満たせないリスクは解消されている(本誌297号参照)。
もう1点が、税制適格要件に該当するか否かだ。今回国税庁が明らかにした照会事例では、REIT間あるいは同一の者によってREITの株式の50%超が保有されるケースは存在しないため、「共同事業のための合併」にしぼり、@事業関連性要件、A特定役員引継要件、B従業者引継要件について検討が行われている。
@の事業関連性要件については、合併するREITはともに投資対象が不動産であることから「同一の事業」を営んでおり、合併後も引き続き不動産投資事業を行うことが見込まれていることから、両者の合併は「事業関連性要件」を満たすとしている。
Aの特定役員引継要件については、投信法上、REITの役員である「執行役員及び監督役員」(96条)は「投資法人の業務を執行し、投資法人を代表する」(109条)とされていることから、法人税法上の「社長、副社長、代表取締役、代表執行役、専務取締役若しくは常務取締役又はこれらに準ずる者で法人の経営に従事している者」(法令4条の2C二)の「これらに準ずる者で法人の経営に従事している者」に該当するとしている。
Bの従業者引継要件については、投信法上、REITは使用人を雇用できない(63条)ため、そもそもREITには「業務に従事する者」が存在せず、従業者引継要件を満たさないのではないかとの疑問があるが、照会事例では、REIT同士の合併では「従業者が不存在となる状態は投信法の制約によって合併後も変わらないため、合併前の状態は合併後においても継続している」とし、REIT同士の合併においても、従業者引継要件は充足されるとしている。
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キーワード 「共同事業 合併」⇒91件
(週刊「T&A master」301号(2009.4.6「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2009.6.8 ビジネスメールUP!
1271号より
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