トリガー税率引下げ、事実上の適用開始は平成24年3月期以降に
法令上の適用開始時期と親会社が恩恵を受ける時期に大きな差
平成22年度税制改正では、タックスヘイブン税制のトリガー税率が現行の25%から20%に引き下げられるが、実際に日本企業がその恩恵を受けるのはだいぶ先となる。
法令上、新しいトリガー税率は「特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度」から適用開始となるが、租税特別措置法66条の6第1項の規定により、親会社(3月決算)がトリガー税率引下げの恩恵を受けるのは「平成24年3月期」からとなることが、本誌取材により確認されている。
中国進出の日本企業にはいつから恩恵?
トリガー税率の引下げの恩恵の享受者としてまず思い浮かぶのは、中国に子会社を持つ日本企業であろう。現在法人税率が25%の中国は、タックスヘイブン国となっているからだ。
しかし、実際に日本企業がトリガー税率の引下げの恩恵を受けるのは、だいぶ先となる。平成22年度税制改正大綱には、新しいトリガー税率を「特定外国子会社等の平成22年4月1日以後に開始する事業年度」から適用するとある。したがって、中国に多い12月決算の特定外国子会社等であれば、「平成23年12月期」から新税率が適用されることになる(3月決算の特定外国子会社等であれば「平成23年3月期」)。
ただし、これはあくまで特定外国子会社等の話であり、日本の親会社の適用開始はさらに遅れることになるので留意したい。
租税特別措置法66条の6第1項では、親会社が特定外国子会社等の所得を合算するタイミングについて、「……その内国法人の収益の額とみなして当該各事業年度終了の日の翌日から二月を経過する日を含むその内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入する」と規定する。
この規定によると、中国進出企業に多い「特定外国子会社等が12月決算、親会社が3月決算」である場合には、旧法が適用される特定外国子会社等の「平成22年12月期」終了の日(平成22年12月31日)の翌日(平成23年1月1日)から2か月を経過する日(平成23年2月28日)を含む事業年度である親会社の「平成23年3月期」については従来どおり所得合算が行われ、所得合算が行われないこととなるのは、親会社の「平成24年3月期」からとなる。
また、特定外国子会社等が3月決算法人である場合にも、旧法が適用される特定外国子会社等の「平成22年3月期」終了の日(平成22年3月31日)の翌日(平成22年4月1日)から2か月を経過する日(平成22年5月31日)を含む事業年度である親会社の「平成23年3月期」までは所得合算が行われ、所得合算が行われないのは、やはり親会社の「平成24年3月期」からとなる。
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キーワード 「トリガー税率」⇒14件
(週刊「T&A master」337号(2010.1.11「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2010.3.12 ビジネスメールUP!
1378号より
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