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租税回避目的の“100%外し”には包括否認規定のリスクも
非適格合併、残余財産分配等でも「譲渡損失+みなし配当」が発生

 親会社が保有する子会社の株式を当該子会社に買い取らせることにより子会社株式の譲渡損失を発生させつつ、みなし配当の益金不算入を活用した節税スキームの防止策が平成22年度税制改正で導入されるが、子会社に株式を買い取らせる方法以外にも、「譲渡損失+みなし配当」を発生させる方法がいくつかあり、実務家のなかには「節税スキームが引き続き可能なのでは」とみる向きもある。

100%グループ外での残余財産分配が焦点
  「譲渡損失+みなし配当」を活用した節税スキームは、平成22年度税制改正で、@100%グループ内の法人の株式を当該法人に対して譲渡する等の場合には、その譲渡損益を計上しない、A自己株式として取得されることを予定して取得した株式が自己株式として取得された際に生ずるみなし配当については、益金不算入制度を適用しない、とする租税回避防止策が導入されることで、完全に封じ込められるようにみえるところだ。
  ただ、親会社が保有する子会社の株式を当該子会社に買い取らせる方法以外にも、「譲渡損失+みなし配当」を発生させることは可能。たとえば、非適格合併、解散による残余財産の分配等である。
  このうち非適格合併については、税制改正大綱に「100%グループ内の内国法人間で一定の資産の移転(非適格合併による移転を含む)を行ったことにより生ずる譲渡損益を、その資産のそのグループ外への移転等の時に、その移転を行った法人において計上する制度とする」旨の記述があるほか、100%グループ内以外の非適格合併についても、税制改正大綱に「抱合株式については、譲渡損益を計上しない」との記述があり、租税回避防止策が講じられている。
  一方、解散による残余財産の分配については税制改正大綱での言及はないものの、2009年7月30日公表の「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会 論点とりまとめ」においても、「グループ法人間の現物配当についても、譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。この取扱いは、残余財産の分配やみなし配当の場合も含め同様とすべきと考えられる。(以下略)」との記述があり、平成22年度税制改正ではこれが実現することになる模様だ。
  ただ、上記の残余財産の分配に関する記述が「100%グループ内」を前提としているとすれば、100%グループ以外における残余財産の分配等については立法手当てがされず、たとえば、意図的に100%グループ関係を崩すことにより、租税回避を図るような行為も想定される。ただ、節税目的の“100%外し”は、同族会社に係る包括否認規定か、企業再編に係る包括否認規定の適用対象になる恐れが大きいといえよう。

 

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  キーワード 「包括否認規定」⇒12

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解説記事 グループ法人単体課税制度&みなし配当活用の租税回避防止策の適用範囲 2010年 01月 18日
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(以上、最新順)

週刊「T&A master」339号(2010.1.25「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.3.26 ビジネスメールUP! 1383号より )

 

 
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