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税務調査で指摘のみなし配当、益金不算入制度の適用は不可
東京地裁、更正をすべき理由がない旨の通知処分は適法

 東京地裁民事第38部(杉原則彦裁判長)は1月29日、税務調査で指摘されたみなし配当について、更正の請求による受取配当等の益金不算入制度適用の可否が争われた事案で、税務署長による更正をすべき理由がない旨の通知処分を適法と判断し、当該通知処分の取消請求を棄却した(平成21年(行ウ)第260号)。

税務調査でみなし配当と指摘
 原告は、X社に対し、保有するX社株式の一部を売却し、X社から金銭の交付を受けた。売買直前、X社の資本金等の額は零円であり、交付金の全額がみなし配当となる。原告の確定申告書には、当該みなし配当について、益金の額に算入されない配当等の額および計算に関する明細の記載がなかった(以下「本件不記載」という)。
 X社は、上記株式売買の翌年、税務調査を受け、当該交付金がみなし配当に該当する旨を指摘され、みなし配当に係る源泉所得税を納付した。原告は、当該みなし配当の100分の50に相当する金額について、受取配当等の益金不算入制度の適用を求める更正の請求を行い、税務署長は、更正をすべき理由がない旨の通知処分をした。
 原告は、訴訟において、確定申告書に添付された有価証券の内訳書に、X社への株式売却を記載しており、真実の報告を誠実に行っていたもので、本件不記載は、「益金の額に算入されない配当等の額及びその計算に関する明細の記載」を単純に忘れてしまったケアレスミスにすぎず、計算間違い(通則法23@一)と同視すべきと主張した。

不記載と計算間違いは同視できない
 杉原裁判長は、証拠等から、本件不記載は、原告の法の不知または失念によるものと認定。そのうえで、このような法の不知または失念は、本件みなし配当について受取配当等の益金不算入制度の適用が可能であるという認識そのものがなかったのであるから、同制度の適用を受けることを前提に確定申告をしながら記載を忘れてしまったという単純な記載忘れとの間には、本質的な差異があることは明らかと指摘。原告の主張は、前提を欠き、本件不記載を計算間違いと同視することもできないとした。

適用の意思が見て取れる状態にない
 また、確定申告書に当該みなし配当につき、益金の額に算入されない配当等の額および計算に関する明細の記載はなく、全証拠によっても、確定申告書の記載上、当該みなし配当について受取配当等の益金不算入制度の適用を受ける意思を原告が有していると見て取れる状態にあったと認めることはできないと判断。当該みなし配当について同制度の適用がないとすることは当然の帰結というほかないと判示した。

 

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(以上、最新順)

週刊「T&A master」346号(2010.3.15「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.5.14 ビジネスメールUP! 1401号より )

 

 
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