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最高裁が収用等に係る移転補償金の取扱いで判示
仙台高裁の原判決を破棄・差戻し

 最高裁判所第三小法廷(藤田宙靖裁判長)は3月30日、収用等に係る移転補償金の取扱いで、仙台高裁による原判決を破棄、差し戻した。最高裁は、居宅等が取り壊されずに現存していることなどから直ちに、建物移転補償金には、所得税法44条、措置法(平成16年法律第14号による改正前のもの)33条1項のいずれの適用もなく、その全額を一時所得の金額の計算上総収入額に算入すべきとした仙台高裁の判断には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令違反があるとしている(平成20(行ヒ)第419号)。

原審、所得税法44条の適用の前提を欠く
 原審(仙台高裁)は、上告人が支払いを受けた移転補償金について、@土地を収用されまたは収用権を背景とした土地の買収に応じて起業者から地上建物の移転に要する費用の補償を受けた者が、当該建物を取り壊して代替資産を取得した場合には、当該補償金について、措置法33条3項2号所定の「資産の損失に対する補償金」に当たるものとして、同条1項の適用を認めるべきであるが、本件では、居宅および物置・車庫が取り壊されずに現存しているから、建物移転補償金について同項の適用を認めることはできない。A事実関係等によれば、上告人は、居宅および物置・車庫について建物移転補償金の交付を受けたものの、その交付の目的に従った費用に充てていないから、所得税法44条の適用の前提を欠き、したがって、建物移転補償金は、その全額を一時所得の金額の計算上総収入金額に算入すべきであると判断していた。

曳行移転により移転義務を果たした
 これに対し、最高裁は、(1)少なくとも本件居宅については,これをAらに譲渡して残地上に曳行移転させることによって、移転義務を果たしたものということができるから、建物移転補償金のうちに曳行移転の費用に充てた金額がある場合には、当該金額については、所得税法44条の適用を受けるものというべきである。(2)建物移転補償金のうち、少なくとも居宅に係る部分については、@取壊し工事費に相当する部分等のうちに曳行移転の費用に充てられた部分があるときは、当該部分は、実質的に交付の目的に従って支出されたものとして、所得税法44条の適用を受け、また、Aそれ以外の部分についても、同条または措置法33条1項の適用を受ける部分があり得るものというべきであるなどと指摘。
 上告人が主張する各事実が存在するかどうか、建物移転補償金のうちに上記各規定の適用を受ける部分があるかどうかなどの点について、さらに審理を尽くさせるため、本件を原審に差し戻すのが相当であるとしている。

 

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資料 平成18(ワ)1243 損害賠償請求事件 2009年 11月 26日
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(以上、最新順)

週刊「T&A master」350号(2010.4.12「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.6.9 ビジネスメールUP! 1412号より )

 

 
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