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誌上コンサル 先生、こんなときどうするの?

高圧線下の地役権補償料を21年間遡って取得できた事例

 船井財産コンサルタンツ 新規事業推進室長 岸 健二郎


 地役権設定面積にはかなりの違いが!?

 駅から遠く空室が目立ってきた木造2階建て古アパートを建替えて、外食チェーンの店舗を誘致したときのことです。その敷地は幹線道路に面しており、敷地の一部上空に高圧線が架かっている土地でした。もちろん電力会社の高圧線下には地役権が設定されており、アパートも線下には位置しておりませんでした。このアパートを解体し同じような場所に新しく平屋建ての外食チェーン店舗の建築確認を取り、基礎工事を始めた直後のことです。電力会社の社員が来て、「この建築物の位置は高圧線下の建築規定に抵触しているので、工事をストップして建物を削るか少し移動するように」と通告されました。
  工事をやむなくストップし善後策を協議しました。この高圧線は一般的な66KVではなく、275KVもある高圧線の為、直下より3m離して建築をしなければならなかったのです。調査不足もありましたが、電力会社の地役権設定範囲(直下から3mまでが含まれていない)があいまいで且つその面積もかなり少ないことが判明しました。
  電力会社にその件を指摘し交渉を始めましたが、最初電力会社は昭和37年の契約に基づき問題はないと回答してきました。しかし昭和63年に近隣の鉄塔の建替えに伴い再契約したとき、当該地がその間、道路収用にあったり分筆合筆をしていたにもかかわらず、その精査をしていなかったのです。あらためて地主さん側で測量をしていただき、本来あるべき地役権範囲の面積を算出したところ、その面積が165uも増えていたのです。閉鎖謄本・旧公図・絵図など根拠資料も揃え、電力会社と交渉し続けた結果、電力会社はその不備を認め、165u増えた分の21年間支払われるべき補償料約400万円を、新たな地役権面積による設定契約の締結及び地役権設定登記が完了すると同時に一括して支払うことで決着いたしました。
  地主さんは建物の形状はそのままで位置を少しずらした改修費用の一部や測量費を支出したものの、登記関係費用はすべて電力会社が負担することとなりました。新設建物がかなり離れたところに計画していれば、この事実に遭遇していなかったでしょう。怪我の功名でした。地主さんの手元には約300万円が残る結果となりました。
  昔からの電力会社の地役権設定面積にはかなり違いのあるところが多いのではないでしょうか。

お問合せ先
株式会社船井財産コンサルタンツ
新規事業推進室長
岸 健二郎 kishiken@funai-zc.co.jp

 

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(以上、最新順)  

週刊「T&A master」369号(2010.9.6「誌上コンサル 先生、こんなときどうするの?」より転載)

(分類:その他 2010.10.15 ビジネスメールUP! 1462号より )

 

 
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