税務調査で初めて受贈益認識でも益金不算入OK
新寄附金税制、受贈益計上がない場合の益金不算入規定の適用可否

 税務上、寄附の認識のないまま行った取引について、税務調査により寄附金課税が行われるケースは少なくないが、この場合に問題となるのが、平成22年度改正で導入された新寄附金税制の適用関係だ。
  新寄附金税制の適用上、寄附金額の損金算入および同額の受贈益を益金算入する「両建て処理」が求められるが、たとえば税務調査により後で「受贈益」が認識された場合には、経理上そもそもこのような処理は行われていない。この場合、当該受贈益が益金不算入となるのか懸念する実務家もあるが、確定した決算や確定申告でこのような両建て処理が求められているわけではないため、益金不算入が可能となろう。

寄附側との整合性からも益金不算入が妥当
  平成22年度改正で導入された新寄附金税制では、法人による完全支配関係にある内国法人間の寄附について、寄附をする内国法人において損金不算入、寄附を受ける内国法人において益金不算入とされた。
  この新寄附金税制に関する改正法人税基本通達9-4-2の5〈完全支配関係がある他の内国法人に対する寄附金〉についての当局の解説には、寄附を受けた側の処理について、「例えば、金銭の無利息貸付け又は役務の無償提供など金銭の授受を伴わない経済的利益の供与を受けた場合であっても、この経済的利益の額が当該他の内国法人において法人税法上の寄附金の額に該当するときには、当該内国法人においては、支払利息又は役務提供の対価の額を損金の額に算入するとともに、同額を受贈益の額として益金の額に算入する両建て処理を行った上で、この受贈益の額が益金不算入とされることとなります。」との記述がある。
  そこで気になるのが、寄附の認識のないまま取引を行ったところ、後の税務調査により「受贈益」が把握されたような場合だ。
  この場合、寄附を受けた側にはそもそも受贈益の認識はないことから、経理上、上記のような「両建て処理」は行われていない。この場合、上記解説を踏まえると、受贈益の額が益金不算入とされるための前提を欠いていることになり、受贈益の益金不算入規定が適用されず、受贈益に対して課税が行われることを懸念する実務家もあるようだ。
  しかし、新寄附金税制においては、確定した決算や確定申告においてこのような両建て処理が求められているわけではないため、この処理を行わずに税務調査で受贈益が把握されたとしても、当該受贈益に対しては益金不算入規定の適用が可能となろう。この点は、寄附側において全額損金不算入になることとの対応上も妥当といえそうだ。

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週刊「T&A master」370号(2010.9.13「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.10.25 ビジネスメールUP! 1466号より )

 

 
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