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個人株主全員が小口株主となるよう「基準株式数」設定で適格現物分配に
法人株主と個人株主を有する法人が適格現物分配を行う方法

 法人税法上、適格現物分配に該当するためには、現物分配により資産の移転を受ける者が「その現物分配法人と完全支配関係がある内国法人のみ」であることが要件とされている。ただ、会社法上、「基準株式数に満たない数の株式」しか保有しない株主に対しては、他の株主に現物分配を行う場合であっても、(現物分配を行わず)金銭を支払うことが認められている。したがって、法人株主と個人株主を有する法人にあっては、個人株主全員が「基準株式数に満たない数の株式」の保有株主となるよう基準株式数を設定することにより、適格現物分配を行うことが可能だ。

種類株を使わず税制適格に
  平成22年度税制改正で導入された適格現物分配は、法人税法上、「その現物分配により資産の移転を受ける者がその現物分配の直前において当該内国法人との間に完全支配関係がある内国法人(普通法人又は協同組合等に限る。)のみであるものをいう。」と定義されている(法法2十二の十五)。すなわち、現物分配法人の株主に個人と内国法人がある場合において、個人株主と内国法人株主の両方に現物分配を行った場合には、税制非適格となってしまう。そこで、個人株主に現物分配を行わないようにするため、種類株を活用し、現物分配の対象を内国法人株主のみに限定すれば、適格現物分配に該当し得ることは本誌既報のとおりである(本誌358号参照)。
  ただし、個人株主が、会社法上のいわゆる“小口株主”に該当する場合には、わざわざ種類株を使う必要はないので留意したい。
  会社法上、配当財産が金銭以外の財産である場合、株主総会の決議により、「基準株式数に満たない数の株式」を有する株主に対して配当財産の割当てをしない旨を定めることができる(会社法454C二)。そして、この場合には、その株主に対して、配当財産の価額に持分割合を乗じて計算した「金銭」を支払わなければならない(会社法456)。すなわち、「基準株式数に満たない数の株式」を有する株主に対しては、現物分配を行わず、金銭を支払ったとしても、株主平等原則に反することがないことが、会社法上担保されているわけだ。
  また、上記の「基準株式数」は、金銭の支払いを受けることとなる株主の同意があれば、株主総会で自由に設定することができる。すなわち会社は、株主総会において、現物分配を行う株主を限定できることになる。
  したがって、個人株主と法人株主の両者を有する法人が、適格現物分配を行いたい場合には、株主総会において、個人株主が全員「基準株式数に満たない数の株式」を有する株主となるよう、基準株式数を設定すればよいことになる。

 

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週刊「T&A master」371号(2010.9.20「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.11.01 ビジネスメールUP! 1469号より )

 

 
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