平成16年分以前のものは各地方団体の判断で
生保二重課税、個人住民税の課税の取扱いは?

 国税庁は10月20日、平成22年7月6日の最高裁判決を受け、保険年金に係る税務上の取扱いを変更。過去5年分(平成17年分〜21年分)の所得税について還付手続を開始した(今号10・36頁参照)。ここで気になるのは個人住民税の取扱いだ。
  総務省では10月1日付で各都道府県に対して「所得税における相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等に伴う個人住民税の課税の取扱いについて」と題する文書を通知している(次頁参照)。これによれば、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体において判断することが適切であるとし、国として所得税と同様の対応は義務付けないとしている。

所得税の計算が変われば、個人住民税も変わる
  個人住民税の総所得金額等については、所得税の計算の例によって算定するものとされているため、所得税の計算が変われば、個人住民税についても税額変更の賦課決定や還付が行われることになる。
  今回の総務省の通知は、所得税の過去5年以内の納税分に係る更正等が行われることを踏まえ、市町村においても、個人住民税の変更賦課決定等の事務を遅滞なく開始できるための留意事項を取りまとめたものである。
過去5年分の対応とは?
  個人住民税の過去5年以内の納税分に係る地方団体の対応について、たとえば、所得税において過去の保険年金に係る雑所得について更正が行われた場合については、更正後の金額を基準に個人住民税を算定し、変更賦課決定を行うことになる。この場合の還付加算金は、原則として、所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日が計算期間の始期とされている。
所得税と同様の対応は義務付けず
  また、所得税については、過去5年(平成12年分以降平成16年分以前)を超える納税分についても、財務省等が税制改正により特別な還付措置を講じる方向となっている(本誌373号7頁参照)。
  しかし、個人住民税に関しては、@所得税の過去5年を超える納税分に関する措置は、国税における特別な対応であること、A地方税に関する権限は、地方自治の本旨の根幹を成すものであり、地方税法に規定されている「還付は5年以内に限る」とする基本ルールを、国の政策判断で変更し、全ての地方団体に一律に適用することは適切ではないことなどを理由として、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体で判断することが適切であるとし、国として法令に基づき地方団体に対して所得税と同様の対応を義務付ける予定はないとしている。
補助金として給付するケースも
  なお、総務省によれば、一部の地方団体において、冷凍倉庫をめぐる固定資産税の税額を過大に決定した事例で過去5年を超える納税分を補助金として給付等(地方自治法232条の2)している事例があるとしている。

所得税における相続又は贈与等に係る生命保険契約等に基づく年金の税務上の取扱いの変更等に伴う個人住民税の課税の取扱いについて(一部抜粋)

●個人住民税の過去5年以内の納税分に係る地方団体の対応について


個人住民税の変更賦課決定について
イ 所得税において過去の保険年金に係る雑所得について更正が行われた場合 所得税において保険年金に係る雑所得の金額が更正された場合においては、市町村は原則として、当該更正した金額を基準として個人住民税を算定することとされており、個人住民税においても変更賦課決定を行う必要があること。 還付加算金については、原則として、所得税の更正の通知がされた日の翌日から起算して1月を経過する日の翌日が計算期間の始期とされている点に留意すること。
ロ 所得税において過去の保険年金に係る雑所得について新たに確定申告が行われた場合※
  市町村が保険年金に係る雑所得について調査し、自主決定を行っている場合を除き、通常、当該保険年金に係る雑所得について個人住民税は課されていないものと考えられることから、税務署から当該保険年金に係る雑所得に関する確定申告書の写しを入手した場合には、当該確定申告書の写しに係る納税者の過去の課税状況を十分確認すること。 なお、この結果、個人住民税額が増額されることもあり得るが、国税庁作成のパンフレットにもその旨が明記され、納税者への周知が行われる予定であり、市町村においても納税者に十分説明を行い、理解が得られるよう努力いただきたいこと。
※ 保険年金に係る雑所得以外の所得についてのみ確定申告を行っていた者が、新たに当該雑所得を所得税の課税所得として更正する場合を含む。
ハ イ、ロ以外の場合
 保険年金に係る雑所得の金額について個人住民税が課されている者のうち、所得税非課税者や、所得税課税者であるが、イ、ロの手続きを行っても所得税の還付がないことなどからこれらの手続きを取らない一方、個人住民税については、市町村の自主決定により保険年金に係る雑所得が課税されており、還付となり得る者については、市町村において調査を行い、保険年金に係る雑所得の金額を適切に算定し、変更賦課決定を行うこと。 還付加算金については、過去の保険年金に係る個人住民税の納付があった日の翌日が計算期間の始期とされている点に留意すること。
 なお、本ケースに該当する者については、市町村において対象者を調査・把握し、必要に応じて、速やかに変更賦課決定を行うことが基本であるが、国税庁作成パンフレットにも市町村において相談に対応する旨が明記されているほか、保険年金に係る雑所得の取扱いに関して税務署が納税者から相談を受けたが、所得税の還付はないと認められる者については、市町村に相談すよう助言がなされる予定であることから、対象者の把握に当たっては、税務署と連携し、この仕組みを適宜活用すること。

●個人住民税の過去5年を超える納税分に係る地方団体の対応について
 所得税の過去5年を超える納税分への対応については、特別な還付措置を講ずる方向で検討されているところであるが、個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、
@所得税の過去5年を超える納税分に関する措置は、国税における特別な対応であること
A地方税に関する権限は、地方自治の本旨の根幹を成すものであり、地方税法に規定されている「還付は5年以内に限る」とする基本ルールを、国の政策判断で変更し、全ての地方団体に一律に適用することは適切ではないこと
B現状においても、各地方団体の判断で過去5年を超える納税分について給付等により救済を行うことは可能であること
  ※ 一部団体においては、過去5年を超える納税分について、給付等による救済を独自に行っている事例がある。
などから、本件に係る個人住民税の過去5年を超える納税分の取扱いについては、各地方団体において判断することが適切であり、国として法令に基づき地方団体に対して所得税と同様の対応を義務付けることは予定していないこと。 
  なお、各地方団体が独自の判断に基づいて本件に係る給付等による救済を行った場合の財政措置については、別途検討中であること。

(編注:平成22年10月1日付で総務省が各都道府県への通知した文書(総税市第64号)を一部抜粋したものである)

 

 

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  キーワード 「生保 二重課税」⇒9

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登録日

オフィシャル税務

生保二重課税、過去5年分の所得税の還付手続を開始

2010年 10月 25日

オフィシャル税務

生保二重課税問題、10月下旬に税務上の取扱いを変更 2010年 10月 11日

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2010年 07月 12日

     
     
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週刊「T&A master」375号(2010.10.25「SCOPE」より転載)

(分類:税務 2010.11.29 ビジネスメールUP! 1480号より )

 

 
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