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東京高裁、DESに伴う債務消滅益認定事案で控訴棄却
控訴人の主張は、原審の繰返しか独自の見解に基づくもの

 東京高等裁判所第12民事部(梅津和宏裁判長)は9月15日、DES(債務の株式化)により債務消滅益が生ずるか否かなどが争われた事案で、控訴人の主張は、原審における主張の繰返しか、法人税法等に関する独自の見解に基づくもので採用できないと判断し、控訴を棄却する判決を言い渡した(平成21年(行コ)第206号)。

1審、DESを複合的な行為と判示
  DESを実施した債務者企業について、債務消滅益が発生するか否かについて、1審東京地裁は、以下のように判示していた。
  本件DESは、@現物出資による債権の移転、A債権とこれに対応する債務の混同による消滅、B新株発行という複数の各段階の過程によって構成される複合的な行為であり、1つの取引行為とみることはできず、Aの混同の過程においては、資本等の金額の増減は発生していないことから、資本等取引に該当するとは認められない。会社法制上、一般に現物出資対象債権の評価を券面額または評価額のいずれで行うかという議論は、法人税法上、適格現物出資における現物出資対象債権の価額の認定には影響を及ぼさず、その認定とは関係がない。混同により消滅した債務の券面額とその取得価額との差額につき、債務消滅益が発生したものと認められる(本誌308号10頁、309号4頁参照)。

DES取引の一部を損益取引とすることは許されないと主張
  控訴審において、控訴人は、@DESは、負債(債務)の移転を受けるもので、資産の移転を受けるものではないから、法人税法等の関係法令を適用することはできない、ADES取引を、現物出資、混同による消滅、新株の発行というように分解し、その一部を法人税法22条2項所定の損益取引とすることは許されないと主張。
  一方、被控訴人(国)は、法人税法22条2項の規定は、実現した利益は原則としてすべて益金に含まれるとして、所得概念を包括的に構成する趣旨であるとされており、また、無償による資産の譲受けその他の取引からも収益が生ずると定めていることから、無償の経済的価値の流入が広く益金に含まれると解すべきであると主張。混同による債務の消滅が、法人税法上の資本等取引に該当しないものである以上、資本等取引以外の取引として、当該債務消滅益を益金の額に算入することについて、控訴人所論の違法はないとした。
  梅津裁判長は、控訴人の主張について、原審における主張の繰返しか、法人税法等に関する控訴人独自の見解に基づき原判決の認定判断の違法を主張するものであると指摘し、採用することはできないと判断している。

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週刊「T&A master」381号(2010.12.6「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.1.28 ビジネスメールUP! 1501号より )

 

 
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