法人税率引下げで会計上の決算にはマイナスの影響も
税効果会計通じ、繰延税金資産が減少

 平成23年度税制改正において実施される予定の法人税率引下げにより企業の税負担は軽減されることになるが、一方で、会計上の決算への影響についても留意する必要がありそうだ。
  法人税率引下げに伴って税効果会計上の繰延税金資産(法人税等調整額)が小さくなれば、税引き後当期純利益を押し下げることになるほか、配当可能額も減ることになり、企業の配当政策にも影響を及ぼすことが考えられる。
  また、法人税率引下げの財源となる繰越欠損金の使用制限が導入されれば、使用が制限される割合に応じて税効果会計による回収可能額も減少することになり、決算にマイナスの影響を与えることになる。

税引き後当期純利益減少で企業の配当政策にも影響
  平成23年度税制改正で実施される予定の法人税率引下げは、税負担の軽減という形で企業にメリットをもたらす一方、税効果会計を通じて、会計上の決算にはマイナスの影響を与える面もある。
  繰延税金資産(法人税等調整額)は「将来減算一時差異×法定実効税率」によって計算される。したがって、法人税率引下げにより法定実効税率が下がれば、その分法人税等調整額も小さくなり、企業の税引き後当期純利益を押し下げることになる。
  また、税引き後当期純利益が減少すれば、これによって配当可能額も減ることになる。企業は、法人税率引下げに伴う配当政策への影響にも注意しておく必要があるだろう。

税務上の繰越期間無制限でも、「回収可能見積期間」の延長なし
  また、法人税率引下げの有力な財源となる繰越欠損金の使用制限も、会計上の決算にはマイナスとなる可能性がある。
  繰越欠損金の使用が控除前所得の50%に制限された場合には、税効果会計による回収可能額も半分となり、法人税等調整額の減少を通じて決算にマイナスの影響を与えることになる。
  産業界の要望に応じ、繰越欠損金の使用制限の導入と引換えに繰越期間が無制限とされたとしても、会計上の「繰延税金資産の回収可能性に関する将来の合理的な見積期間」が5年から延長されることは考えにくい。そうなると、繰越欠損金の使用制限導入により、税負担の増加と会計上の決算への悪影響という二重のデメリットが企業におよぶことになる。
  企業のメリットばかりが強調されがちな法人税率引下げだが、実際には、メリット・デメリットの二面性を持つということがいえそうだ。

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(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」381号(2010.12.6「今週のニュース」より転載)

(分類:税制改正 2011.1.31 ビジネスメールUP! 1502号より )

 

 
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