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子法人の株評価損と繰欠の二重計上、「1つの行為に2つの損失は想定外」
受配益金不算入+譲渡損失スキーム封じ込め時には“駆け込み”利用も

 平成22年度税制改正において、受取配当等の益金不算入規定を利用した子会社株式に係る譲渡損失計上スキームを不可能とする改正が実施された際には、施行日前の“駆け込み”実施が一部でみられたが、同様の動きが平成23年度税制改正でもみられるようだ。
 平成23年度税制改正では、子法人清算時における親法人による子法人株式の評価損計上を禁止する措置が講じられるが、逆にいうと、改正法の施行前であれば、行為計算否認規定が適用されない限りにおいては、当該評価損と子法人の繰越欠損金との二重計上が可能な状態にあるともいえる。
  一方、税務当局は、「1つの行為について2つの損失を計上するような状況は想定していない」と、このような動きを牽制しているので要注意だ。

今年度末までは二重損失計上が可能な状態に
 平成22年度税制改正により、100%子法人の清算時において、親法人は当該子法人の繰越欠損金を引き継ぐことができるよう改正が行われた(法法57A)。これに伴い、損失の二重計上を防ぐため、親法人が子法人株式に係る清算損失を計上することも不可とされたが(法法61の2@O)、その一方で、子法人株式の評価損失(法法33)については何ら改正が行われなかった。
 そこで平成23年度税制改正では、この“穴”を埋めるべく、子法人の清算時に親法人が子法人株式の評価損失を計上することを禁止する措置が講じられることとなったのは既報のとおりだ(本誌384号4頁参照)(改正法法33)。
 ただ、子法人株式の評価損失計上が禁止されるのは、法人が平成23年4月1日以後に行う評価換え等からであるため(改正法附則20)、これらの条文による限り、今年度末までは、当該評価損失と子法人の繰越欠損金の二重計上が可能な状態となっている。

否認には行為計算否認規定が必要
 平成22年度税制改正において、受取配当等の益金不算入規定を活用した子法人株式に係る譲渡損失計上スキームを不可能とする改正が実施された際には、“駆け込み”でこのスキームを利用する動きが一部で広がったが、今回も同様の動きがみられるようだ。
 一方、税務当局は、「1つの経済行為について2つの損失を計上するような状況は想定していない」としており、こうした動きを牽制しているので要注意だ。仮に当局が評価損失と繰越欠損金の二重計上について否認を行うとすれば、行為計算否認規定(法法132)によることになる。

 

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週刊「T&A master」392号(2011.2.28「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.4.8 ビジネスメールUP! 1529号より )

 

 
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