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最高裁が建替え中の住宅用地の固定資産税の特例の可否で判断
適用要件をすべて満たせば建替え中でも特例あるが……

 最高裁判所第二小法廷(千葉勝美裁判長)は3月25日、家屋の建替え中のため賦課期日に居住用家屋が存しない土地に係る固定資産税について、住宅用地に対する課税標準の特例等があるか否かで争われた事案で、一部納税者の主張を認める判決を行った(平成21(行ヒ)154)。

賦課期日の土地の現況で判断
 今回の事案は固定資産税等の平成17年・18年度の各賦課決定において、建替え中の住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例等の適用の可否を巡って争われたもの。東京都税事務所では、当初、特例を適用して固定資産税の賦課決定を行ったが、その後、@建築工事が中断されていること、A土地の所有権が移転していることなどが明らかになったため、特例の適用がないものとして処分を行ったものである。
 原審の東京高裁(平成21年1月29日判決、平成20(行コ)261)では、既存の住宅に替えて住宅を新築する土地については、@土地が当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと、A同一の敷地において行われるものであること、B所有者が同一であること、C当該年度に係る賦課期日において、住宅の新築工事に着手しているかなどの適用基準のすべてに該当する土地については、住宅が完成するまでに通常必要と認められる工事期間中は従前の住宅用地の認定を継続することとし、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例等の適用を認めるとした。しかし、本事案については、前記Bの基準を満たしていなかったため、平成17・18年度の特例の適用はないとの判断を示した。
 最高裁は、住宅用地に対する固定資産税の課税標準の特例等は居住用家屋の「敷地の用に供されている土地」(地法349の3の2@)に対して適用されるが、当該土地がこれに該当するかどうかは、当該年度の固定資産税の賦課期日における当該土地の現況によって決すべきものであるとした。
 事実関係によれば、平成17年度の固定資産税の賦課期日である平成17年1月1日の土地の現況は、平成16年7月26日から17年5月31日までを工事予定期間と定めて、居住用家屋となる予定の新家屋の建築工事が現に進行中であったとして本件土地は「敷地の用に供されている土地」に該当するとし、その後、新家屋の建築工事が中断するなどしても、遡って賦課期日において「敷地の用に供されている土地」でなかったことになるものではないとした。一方、平成18年1月1日の土地の現況は、工事が1年近く中断し、相当の期間内に工事が再開されて新家屋の完成することが客観的に見て取れる事情もないと判断。原審の判断と同様、平成18年度の固定資産税等については特例がないとした。

 

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週刊「T&A master」398号(2011.4.11「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.5.25 ビジネスメールUP! 1545号より )

 

 
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