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使用人賞与の損金算入時期、大阪高裁判決の判断に沿って裁決
期末から1月を超えて支給した賞与の未払計上時の損金算入を否定

 国税不服審判所は、使用人賞与の損金算入時期が争われていた事案で、法人税法施行令134条の2(平成18年改正で72条の5へ移行後、平成22年改正で72条の3に変更。以下「令134条の2」という)に基づき判断すべきとし、憲法に反することから、同条によらず、債務が確定した未払計上事業年度の損金の額に算入されるべきであると主張した請求人の主張を斥けた(棄却・平成22年9月2日裁決)。

請求人、未払も債務が確定していると主張
 本事案は、請求人が損金の額に算入した未払の使用人賞与について、税引前利益から自動的に算出され債務が確定することから、未払計上した事業年度において損金の額に算入して申告をしたところ、原処分庁が、令134条の2の規定に基づき、実際に支払った日の属する事業年度において損金の額に算入すべきであるとして、更正処分等を行ったもの。請求人は、令134条の2について、委任する法条文がないことなどから、日本国憲法84条に違反するなどと主張し、更正処分等の取消しを求めていた。

法令の憲法判断、審判所の権限に属さず
 審判所は、令134条の2の合憲性について、国税不服審判所は原処分庁の処分が国税に関する法令に違反するものであるかどうかを判断する機関であり、法令自体の合憲性の判断は、権限に属さないと指摘。
 令134条の2については、使用人賞与の実情や支給実態に鑑み、使用人賞与の損金算入時期を具体的に定めることにより、課税の明確性および統一性を図ったものであり、使用人賞与の損金算入に関し、法人税法22条3項1号および2号について、その施行のために必要な技術的、細目的事項を定めたものであると解されると判断した。
 そのうえで、請求人が損金の額に算入した使用人への未払決算賞与の損金算入時期について、就業規則などで定められた支給予定日が到来していないことから令134条の2第1号の賞与には該当せず、事業年度終了の日の翌日から1月以内に使用人に支払っていないことから同条2号にも該当せず、結果、同条3号に規定の賞与として、実際に支払った日の属する事業年度において損金の額に算入すべきであるとした。
 なお、審判所によれば、前述した令134条の2の解釈は、今回の裁決と同じく、使用人賞与の損金算入時期が争われていた事案の大阪高裁平成21年10月16日判決(平成21(行コ)第24号)と同様の見解に基づく判断を行っているものだ。同事案について、最高裁は、平成23年4月28日付で上告棄却および上告受理申立ての不受理を決定(平成22(行ツ)29、平成22(行ヒ)28)したことから、令134条の2が違憲であるとした納税者の敗訴が確定している。

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週刊「T&A master」409号(2011.7.4「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.8.31 ビジネスメールUP! 1583号より )

 

 
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