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弁護士の受任事件負担金や照会手数料等は消費税の課税対象
京都地裁、いずれも役務の対価として更正処分は適法

 京都地方裁判所第3民事部(瀧華聡之裁判長)は4月28日、受任事件負担金や弁護士法23条の2に基づく照会手数料等に消費税が課せられるのは違法であるとして争われた事案に対して、いずれも消費税法における課税の対象である役務の提供の対価であると判断し、原告の京都弁護士会の請求を棄却した(平成19(行ウ)48)。
  なお、同事案については、現在、控訴されている。

消費税の課税標準となるか否か
 今回の事案は、原告である京都弁護士会が、@同会に設置された法律相談センター等において紹介等をされた弁護士が申込者から事件を受任するなどした場合等に支払うとされている受任事件負担金、A弁護士法23条の2に基づく照会手数料、B弁護士協同組合や法律扶助協会への事務委託金、C司法修習生研修委託費といった収入について、いずれも消費税の課税標準額に含めなかったため、税務署が消費税および地方消費税の更正処分ならびに過少申告加算税の賦課決定処分を行ったが、原告はこれを違法であるとしてその取消しを求めたものである。

対価関係があると指摘
 京都地裁では、たとえば、@の受任事件負担金については、法律相談センターにおける名簿の作成、紹介の仲介などの事務処理という役務の提供によって受任の機会を得たため、その反対給付として受任事件負担金を支払うこととされているものということができるとし、当該役務の提供と受任事件負担金との間には明白な対価関係があると指摘した。
 そのうえで、当該役務の提供は「国内において事業者がおこなつた資産の譲渡等」(消費税法4条1項)に該当するため、受任事件負担金は課税取引の対価であり課税標準となるとして更正処分がされた点に違法はないと判断した。

照会手数料も同様
 また、Aの弁護士法23条の2に基づく照会手数料は、会員である弁護士から照会の申出を受ける際、照会に要する費用とともに、手数料としてあらかじめ4,000円を原告が受領することになる。このため、照会手数料は、@と同様、課税取引の対価であるとしている。

弁護士法23条の2(報告の請求)
 弁護士は、受任している事件について、所属弁護士会に対し、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることを申し出ることができる。申出があつた場合において、当該弁護士会は、その申出が適当でないと認めるときは、これを拒絶することができる。

 

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週刊「T&A master」410号(2011.7.11「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.9.5 ビジネスメールUP! 1585号より )

 

 
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