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仮装経理による紹介手数料の受領で支払者側に寄附金課税
実質課税の原則との整合性指摘する声も

 企業間で顧客の紹介を受けた場合等において、紹介者に対し一定の紹介手数料を支払うケースはよくあるが、その場合、しばしば問題となるのが、その経理処理だ。不正防止の観点から、こうした紹介手数料の受取りが社内ルールによって認められていない企業は少なくない。
 こうしたなか、紹介手数料を受領した企業が、存在しない売上と仕入れを両建てで計上し、その差額が紹介手数料額と一致するように経理処理を仮装したところ、紹介手数料の支払者側が寄附金課税を受ける事例が発生したようだ。
 実質課税の原則から、従来はこうした課税が行われるケースはなかった模様であるだけに、注意したい。

契約書が存在しないことが課税の根拠に
 企業間で顧客を紹介し合うという商習慣はごく一般的であり、その場合、紹介を受けた謝礼として、たとえば「売上の10%」を紹介手数料として紹介者にキックバックするようなケースもよく見受けられる。
 ただ、この場合にしばしば問題となるのが、紹介手数料の経理処理。企業によっては、不正防止の観点から、社内ルールでこうした紹介手数料の受取りを禁止しているところもあるからだ。
 こうしたなか、紹介手数料という形をとらずに当該紹介手数料相当額を計上するため、存在しない売上と仕入れを両建てで計上し、その差額が紹介手数料額と一致するように経理処理を仮装したところ、紹介手数料の支払者側が寄附金課税を受ける事例が発生した模様だ。
 たとえば甲社が乙社に20万円の紹介手数料を支払ったとすると、乙社は、実在しない売上120万円と仕入れ100万円を両建てするという経理処理を仮装、実質的に紹介手数料20万円の益金を計上した。これに対し課税当局は、このような仮装の経理処理を問題視し、甲社から乙社に対する紹介手数料の支払いを「寄附」と認定、甲社に対して寄附金課税を行ったようだ。
 課税当局が紹介手数料の支払いを「寄附」と認定した根拠の1つには、甲乙社間において、紹介手数料の支払いに関する契約書が存在しなかったこともあるという。
 確かに乙社が経理処理を仮装したことは問題があるが、紹介手数料が支払われた事実があり、また、乙社もそれを(名目は違うものの)益金に計上している以上、実質課税の原則の観点からは、甲社においては紹介手数料の全額が損金算入されてしかるべきとの考え方もあろう。
  実際、従来の課税執行においては、このようなケースについて寄附金課税が行われることはなかった模様であるだけに、今後は注意が必要となろう。

 

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  キーワード 「経理処理 仮装」⇒37

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週刊「T&A master」416号(2011.8.29「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2011.10.21 ビジネスメールUP! 1602号より )

 

 
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