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上場廃止後のみなし配当、上場扱いで軽減税率10%を適用
大阪局、株式買取請求に係る源泉税で柔軟な取扱い

 株式交換に反対する株式交換完全子会社の個人株主から、その株式を買い取る際に生じるみなし配当の源泉徴収税率については、証券取引所の上場規程等により、株式交換(株式買取請求)の効力発生日の3日前の日にその子会社が上場廃止となることから、上場株式等の軽減税率(住民税を含め10%)の適用はなく、非上場株式等として20%の税率により源泉徴収を行う必要があるとも考えられるところだ。
 この点、過去の事例では上場株式等として10%で源泉徴収を実施していたケースも存在する模様。しかし、法律上は20%であるため、仮に10%の税率を用いた場合、源泉不足額に加え不納付加算税等が課されるリスクが存在するため、実際のところ、上場株式等として10%の税率により源泉徴収してもよいものか実務家の間から疑義の声があがっていた。
 この問題について、大阪国税局が8月25日に公表した事前照会に対する文書回答では、上場株式等に係るものとして取り扱うのが相当であるとの見解が示されている(今号35頁「株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係について」参照)。

上場廃止はやむを得ない事情によるもの
 株式交換完全子会社が株式交換に反対する個人株主から株式を買い取る際、みなし配当が生じる場合がある。このみなし配当について、その子会社が源泉徴収義務を負っているところ、株式交換の効力発生日には、すでに上場が廃止されていることから、上場株式等として10%の税率により源泉徴収をしてもよいものか実務家の間では疑義があった。
 この問題について、大阪国税局の文書回答では、約定日と受渡日の関係から、効力発生日の3日前に上場を廃止し、効力発生日に株主を確定する必要があるというやむを得ない事情によるものであること、効力発生日の3日前の上場廃止日時点では株主であったことなどを理由として、株式買取請求により発生したみなし配当は上場株式等に係る配当所得として取り扱うのが相当であるとしている。

買取価格決定日が収入すべき時期に該当
 法人の自己の株式の取得による配当所得等の収入すべき時期は、「その法人の取得の日」とされているため、原則として、株式交換の効力発生日が収入すべき時期となる。
 しかし、大阪国税局の文書回答では、反対株主と株式交換完全子会社との協議により買取価格が決定した場合は、その協議が整った日(裁判所により買取価格が決定した場合は、その決定日)を収入すべき時期として差し支えないとしている。したがって、買取請求を行った個人株主は、株式交換(株式買取請求)の効力発生日が属する年ではなく、協議や裁判所により買取価格が決定した日の属する年分の所得として申告することができることとなる。

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週刊「T&A master」417号(2011.9.5「編集部レポート」より転載)

(分類:税務 2011.10.31 ビジネスメールUP! 1606号より )

 

 
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