SOの権利付与額に優先株の株価採用不要
国税庁、従来の実務と異なる「権利付与額=普通株の株価」を明確化
・ 非適格ストックオプションを恐れ、普通株ではなく優先株の株価を権利付与価額とする実務が流布。
・ 普通株より高い優先株の株価を権利付与価額とすることによる被付与者のメリット減少が問題化。
・ 経産省が国税庁に「権利付与価額=普通株の株価」の明確化を要望、国税庁もこれを受入れ。 |
優先株式は、普通株式と異なり通常は議決権がない代わりに、配当受取りや財産分配において優先権がある。このため、優先株式の株価は普通株式よりも高く、会社にとっては、少ない株数の発行で多くの資金を調達できるメリットがある。そこで、株式上場を目指す会社等は優先株式を発行するケースが多いが、この場合に問題となるのがストックオプションとの関係だ。
ストックオプションの税制適格要件の1つに、「権利行使価額≧ストックオプションの権利付与時(契約締結時)の価額」というものがある(措法29の2@三)。ただ、優先株式を発行している会社では、権利付与時の価額とは普通株式、優先株式いずれの価額を指すのか、明らかでなかった。こうしたなか、ストックオプションが税制非適格となるリスクを避けるために、普通株式のストックオプションであっても、優先株式の価額(権利付与直前に発行された優先株式の株価)を「権利付与時の価額」とする保守的な実務が行われてきた。
この場合、優先株式の株価は普通株式の株価よりも高いため、役員や従業員が受けるメリット(報酬)は「優先株式の株価−普通株式の株価」分小さくなってしまう。こうしたなか経済産業省は国税庁に、上記「権利付与時の価額」が「権利付与時の“普通株式”の株価」であることを明確にするよう求めていたが、このほど国税庁はこれを受け入れた。
国税庁からリリースはないが、経産省のHP「ストックオプション税制のご案内」には10月5日夜、「1株当たりの価額に関して、未公開会社の株式については、「売買実例」のあるものは最近において売買の行われたもののうち適正と認められる価額とされているが、普通株式のほかに種類株式を発行している未公開会社が新たに普通株式を対象とするストックオプションを付与する場合、種類株式の発行は、この「売買実例」には該当しない(国税庁確認済み)」旨の記述が追加された。「種類株式の発行は売買実例には該当しない」とすることで、普通株式を対象とするストックオプションでは、「権利付与時の(1株当たりの)価額」とは「普通株式の株価」を指し、優先株式の株価ではないことを明確にした。
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キーワード 「ストックオプション」⇒148件
(週刊「T&A master」423号(2011.10.17「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2011.12.14 ビジネスメールUP!
1624号より
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