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貸倒引当金、毎期の有利判定が必須に
証券会社等、本業の債権の貸倒額大なら新法での貸倒実績率計算が有利

・ 24年4月1日開始事業年度より、証券会社等では、貸倒引当金の繰入対象が本業の金銭債権に限定。
・ 一括評価金銭債権については、「事業年度事業ごと」に新法・旧法いずれかの選択を認める経過措置あり。
・ 本業に係る金銭債権の貸倒れが多い事業年度では、新法を適用した方が貸倒実績率が大きくなり有利。

 昨年12月2日に公布・施行された積み残し部分の平成23年度税制改正における法人税法改正により、平成24年4月1日以後開始事業年度から貸倒引当金制度が原則廃止されることになった。
 ただし、中小法人や銀行、保険会社等については現行のまま貸倒引当金制度が存続するほか、リース会社や証券会社、クレジット会社等の「リース債権を有する法人その他の金融に関する取引に係る金銭債権を有する法人」については、貸倒引当金への繰入れ対象が“本業”に係る特定の金銭債権(以下「特定金銭債権」という)に限定されることになった(改正法法52@一〜三、改正法令96、97、改正法規25の4の2、25の5)。リース会社を例にとると、リース債権のみが繰入れ対象となる。
 そして、リース会社や証券会社等の24.4.1〜27.3.31開始事業年度においては、経過措置として、@個別評価金銭債権については「金銭債権」ごと、A一括評価金銭債権については「事業年度」ごと――に新法と旧法の選択適用が認められている(改正法法附則13@〜B)。
 これにより、リース会社や証券会社等、貸倒引当金の繰入れ対象となる金銭債権が限定される法人にあっては、経過措置が適用されている間、新法と旧法どちらを選択した方が有利か、毎事業年度判定を行う必要が出てくる。
 新法の適用を選択した場合、貸倒実績率は、改正法の施行日前に開始した事業年度の分も含め、特定金銭債権のみをベースに計算される(ただし、施行日以後開始する事業年度においては、「法人が、施行日以後最初に新制度を適用する事業年度開始の日に設立されたもの」として貸倒実績率を計算できる経過措置(改正法令附則5A)がある)。
 一方、旧法を選択した場合には、施行日以後に開始した事業年度の分についても、現行制度どおり、貸倒実績率は全ての金銭債権をベースに計算されることになる。
 したがって、特定金銭債権について多額の貸倒損失が発生した事業年度では、新法の適用を選択し、特定金銭債権のみによって貸倒実績率を計算した方が損金算入額が大きくなるケースが出てこよう。

 

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週刊「T&A master」436号(2012.1.30「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2012.3.26 ビジネスメールUP! 1663号より )

 

 
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