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合併無効請求、債権者の破産管財人も可
名古屋高裁、原告適格を否定した地裁の判決を取消し

・ 名古屋高裁は、存続会社の債権者の破産管財人も吸収合併無効の訴えができると判断。名古屋地裁の判決を取消し、差し戻した。
・ 会社組織法上の行為の権限を有しない破産管財人とは、一般に破産した会社の破産管財人を指す。

 吸収合併無効の訴えについて、存続会社の債権者の破産管財人ができるか否かで争われた事件で、名古屋高裁民事第3部(長門栄吉裁判長)は1月17日、原告適格を有するとの注目判決を行っている(平成23年(ネ)第1005号)。
 本件は、破産会社の破産管財人である控訴人が被控訴人(存続会社)と消滅会社との間で行われた吸収合併無効の訴えを提起した事案である。原審の名古屋地裁では、控訴人である破産管財人には吸収合併無効の訴えの原告適格がないと判断(平成23年(ワ)第3572号)。これを不服とした控訴人が控訴したものである。
 会社の吸収合併無効の訴えは、吸収合併の効力が生じた日において吸収合併後存続する会社の株主等、社員等、破産管財人のほか、吸収合併について承認しなかった債権者も、提起することができる(会社法828条2項7号)。一方、債権者について破産手続開始の決定があった場合には、当該債権者の財産であり、破産財団に属する財産の管理処分権は破産管財人に専属し(破産法2条14号、78条1項)、破産財団に関する訴えは破産管財人を原告または被告とするものとされている(破産法80条)。
 したがって、吸収合併後存続する会社の債権者の破産管財人が吸収合併無効の訴えをできるか否かは、当該訴えを提起することが破産管財人の破産財団に属する財産の管理処分権に含まれ、「破産財団に関する訴え」に含まれるかがポイントとなる。
 名古屋高裁では、存続会社の債権者の破産管財人は、破産財団に属する財産である債権についての管理処分権に基づき、異議申立権を有し、所定の期間内に異議を述べた場合には、当該会社から弁済等を受ける権限を有するほか、当該債権の回収の実効性を確保するため、吸収合併無効の訴えを提起することができると判断。訴えは「破産財団に関する訴え」に含まれ、破産管財人が原告適格を有するとしている。
 また、被控訴人は、破産管財人は会社組織法上の行為について権限を有しないと主張するが、一般には、破産した会社の破産管財人であると指摘。本件のように、債権者の破産管財人が破産財団についての管理処分権に基づき、債務者に対し、債務者に係る会社組織法上の訴訟を提起する場合と同様に解すべき根拠はないとしている。

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週刊「T&A master」444号(2012.3.26今週のニュース」より転載)

(分類:会社法 2012.6.11 ビジネスメールUP! 1693号より )

 

 
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