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“適格外し”を巡る否認事例が訴訟に
株式継続保有要件への抵触で資産調整勘定を計上のケース

・ 本誌が警鐘を鳴らしていた税制非適格組織再編に伴う資産調整勘定の計上に関する否認事例が税務訴訟へと発展。
・ 本事案では、会社分割の際の完全支配継続要件への抵触が“適格外し”に当たるかどうかが論点の一つに。
・ 税制非適格組織再編に対して行為計算否認規定が適用されている点、注目される裁判といえる。

 本誌437号(9ページ)では、税制非適格組織再編に伴う資産調整勘定の計上が課税当局により「租税回避行為」との認定を受けるリスクについて警鐘を鳴らしたところだが、既に同様の課税処分を受けた事案が発生、税務訴訟へと発展していることが本誌取材で確認された。
 資産調整勘定とは、税制非適格組織再編において、「被合併法人等から資産又は負債の移転を受けた内国法人が交付した対価額>移転を受けた資産及び負債の時価純資産価額」となる場合における両者の差額であり(法法62条の8@)、資産が簿価で引き継がれる税制適格組織再編では生じることはない。資産調整勘定は5年間(60カ月)で償却され、課税所得を減少させることになる(同C)。
 今回税務訴訟に発展した事案では、会社分割における完全支配継続要件の充足が焦点の一つとなっているようだ。
 分割法人と分割承継法人の間に完全支配関係がある場合における会社分割では、会社分割後も「完全支配関係の継続が見込まれている」ことが税制適格要件の一つとなっている(法令4条の3D)。
 本事案では、会社分割(分社型)を実施した直後に、分割法人が分割承継法人の株式を他法人(後に分割法人と合併)に売却したことから、当該会社分割は完全支配継続要件への抵触による「税制非適格分割」であるとし、分割承継法人は資産調整勘定を計上した。
 これに対し課税当局は、分割法人による株式の売却は意図的に株式継続保有要件に抵触するためのいわゆる“適格外し”であるとし、当該税制非適格分割に対し組織再編に係る行為計算否認規定(法法132条の2)を適用、資産調整勘定の計上を否認した模様だ。
 法人側はこの処分を不服として国税不服審判所への審査請求に至っていたが、裁決を待つことなく税務訴訟へと発展、先々月には既に第1回目となる口頭弁論が行われている。税制適格再編を装った事例ではなく、税制非適格再編に対して行為計算否認規定が適用されている点、注目される裁判といえよう。

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  キーワード 「否認事例」⇒6

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週刊「T&A master」445号(2012.4.2今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2012.6.15 ビジネスメールUP! 1695号より )

 

 
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