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従業員の不正行為、法人への重加取消し
仙台地裁、取引先からのリベートは従業員に帰属

・ 仙台地裁は2月29日、法人の従業員によるリベートの隠ぺいを巡り、法人への重加算税賦課を取消し。
・ 従業員の権限の内容、リベートの授受の態様などからリベートは法人ではなく個人に帰属すると判断。
・ 別の裁決事例では、従業員が一使用人であったことなどを理由に、法人への重加算税が取消しに。

 課税当局は、法人の従業員が行った仮装隠ぺい行為について、原則として、法人に対して重加算税を賦課する姿勢を打ち出しているが、その処分の是非が裁決や訴訟において争われることがある。
 今回の事案では、従業員が取引業者から受領したリベートを納税者(法人)が雑収入として益金算入しなかったことが国税通則法68条が規定する「隠ぺい」に該当するか否かなどが争われていた。
 納税者は、従業員が仕入価格を水増しし取引業者からリベートとして水増し分を納税者に隠れて受領していたことから、リベート収入は従業員個人に帰属するものであって納税者には帰属せず、隠ぺい行為を行った事実もない旨を主張していた。
 仙台地方裁判所第3民事部の関口剛弘裁判長は、リベートに係る収益が従業員ではなく納税者に帰属するという前提で更正処分等がなされていることを踏まえ、従業員は単なる名義人であり実質的には納税者がリベートに係る収益を受領していると見ることができるか否かを検討することが相当であると判示。関口裁判長は、@従業員には仕入の発注権限がないこと、A就業規則上もリベートの受領が禁止されていたこと、B人目につかない場所で授受を行っていたことなどから、従業員は個人としての法的地位に基づき取引業者からリベートを自ら受け取ったものであると指摘。リベートに係る収益は納税者に帰属するものとは認められないと判断し、重加算税の賦課決定処分を取り消す判決を言い渡している(国側は控訴を断念している)。
 なお、法人の従業員が行った仮装隠ぺい行為を巡り、法人に対する重加算税を取り消した裁決事例が公表されている(平成23年7月6日裁決)。この裁決で審判所は、費用の水増し分に相当するリベートを取引業者から受領していた従業員について、職制上の重要な地位に従事したことがなかったことおよび経理帳簿の作成等に携わる職務に従事したこともないので一使用人であったと認められることなどを指摘し、使用人の仮装行為を請求人自身の行為と同視することはできないと判断。仙台地裁の収益の帰属先の判断とは異なる観点から、法人への重加算税を取り消している。

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(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」446号(2012.4.9今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2012.6.22 ビジネスメールUP! 1698号より )

 

 
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