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分割前期間の減価償却には届出必要に
分割型分割におけるみなし事業年度廃止で「事業年度末」が消滅

・ 分割型分割のみなし事業年度廃止で、期中の分割型分割では、分割前期間の事業年度末が消滅。
・ このままでは、分割法人は、分割前期間における移転資産の減価償却費の損金算入ができないことに。
・ 損金算入には、適格分割等の日以後2月以内に、期中損金経理額などを記載した届出書の提出が必要。

 事業年度の途中で分割型分割が行われた場合、平成22年度税制改正前は、分割の効力発生日を挟み、分割法人の「期首〜分割の効力発生日の前日までの期間(以下「分割前期間」)」「分割の効力発生日〜期末までの期間」の二つの期間をみなし事業年度としていたところだ。
 しかし、平成22年度税制改正により、分割型分割に係るみなし事業年度が廃止され、分割型分割が行われても、みなし事業年度は設けられないこととされた。
 みなし事業年度の廃止により、分割法人は、分割前期間における移転資産の減価償却費を、従来と同様に(何の手続きもなく)損金算入することができなくなったので留意する必要がある。
 これは、法人税法上、減価償却費が損金算入されるのは原則として「各事業年度終了の時」において有する減価償却資産とされているため(法法31条@)、そもそも「事業年度末」がなければ、減価償却もできないからだ。
 もっとも、上記のように法人税法31条1項に基づく減価償却はできないこととなったが、分社型分割と同様、法人税法31条2項の適用を受け、適格分割の日の前日を事業年度終了の日と仮定することで、減価償却費の損金算入が可能。すなわち、適用条文が法人税法31条1項から2項へと移ったものの、減価償却自体は引き続きできるわけだ。
 ただし、法人税法31条2項の適用によって減価償却費を損金算入するにあたっては、「適格分割等の日以後2月以内」に、期中損金経理額などを記載した「適格分割等による期中損金経理額等の損金算入に関する届出書」を所轄税務署長に提出する必要がある(法法31条B)。本誌取材によると、この届出書の提出忘れが散見されるようだが、本規定には宥恕規定はないので、届出を失念ないよう気をつけたい。
 もし届出を失念した場合には、分割法人が、分割前期間における移転資産に係る減価償却費を損金算入することは認められない。この場合、当該減価償却費は、分割承継法人において損金算入するしか選択肢はなくなるので要注意だ。

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  キーワード 「分割型分割」⇒178

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(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」449号(2012.4.30「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2012.7.13 ビジネスメールUP! 1707号より )

 

 
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