三角合併では“適格”でも含み損益認識
合併契約日前に取得の親法人株式交付のケースで、認識失念が散見
・ 三角合併では、合併契約日等において、合併親法人株式に係る含み損益を認識する必要あり。
・ 「適格合併=簿価譲渡」との認識からか、含み損益計上を失念するケースが散見。
・ 合併契約日後に合併親法人株式取得なら原則含み損益の認識不要。合併契約日前に取得の場合は注意。 |
「適格合併=簿価譲渡」との認識からか、適格三角合併の際に、合併親法人株式に係る含み損益の認識を失念するケースが散見されるようだ。
三角合併においては、合併法人が保有する合併親法人株式(合併法人の親法人の株式)を被合併法人の株主に交付することになるが、合併契約日に既に合併親法人株式を有していた場合、あるいは契約日後に適格合併など一定の事由により合併親法人株式の移転を受けた場合、合併法人は、合併契約日等において、合併親法人株式に係る含み損益を認識する必要がある。
例えば、適格三角合併に伴い、合併法人が10(=簿価)で取得した合併親法人株式を被合併法人の株主に交付するケースを考えてみる(図参照)。
当該合併親法人株式の時価が合併契約日において13に上がっていたとすると、合併法人は含み益3(13−10)を認識し、これを益金に計上しなければならない(法法61条の2 )。
では、当該親会社株式の時価が、合併効力発生日(合併法人が合併親法人株式を被合併法人に交付した日)において15に上がっていた場合はどうだろう。この場合、当該三角合併が適格であれば「簿価譲渡」となるため、譲渡損益が認識されることはない。
なお、ここでいう合併効力発生日における合併親法人株式の簿価は「13」となっているので留意したい。これは、法人税法上、合併法人は合併親法人株式を合併契約日において13で譲渡し、直ちに13で取得したものとみなされるからだ(法法61条の2 )。
一般的に三角合併においては、合併効力発生日前に合併親法人株式を取得することで含み益課税を回避するケースが多く、この場合、今回取り上げたようなミスは起こりえない。これに対し、合併契約日前に取得した合併親法人株式を合併対価とする場合は注意が必要だ。
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(週刊「T&A master」455号(2012.6.18「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2012.9.3 ビジネスメールUP!
1725号より
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