日本公認会計士協会は6月14日、「中小会社の会計のあり方に関する研究報告(経過報告)」をとりまとめて公表した。同協会では、秋頃にも正式な研究報告をまとめ、企業会計基準委員会(ASB)や法務省に規定等を求めるとしている。
企業間比較に利用できないなどのデメリット
今回の研究報告書は、商法改正により平成14年4月1日からホームページで計算書類の公告が認められたことから、今後は中小会社においても開示が行われることを予想してのもの。対象は、商法上の中会社及び小会社としている。
基本的な考え方としては、会計基準は会社の規模に関係なく一つであるが、中小会社の特性を考慮して適用方法には簡便法等を認める考えを示している。つまり、中小会社特有の会計基準を別個に作成する必要はないとダブルスタンダードを否定している。理由としては、@同一取引及び経済事象の会計基準は一つであるべきである、A会社や経済実態の把握・分析及び企業間比較に利用できない、B二つの異なった計算書類が存在することは計算書類公開制度の趣旨が損なわれる―といった点を挙げている。
キャッシュ・フロー計算書の様式などは簡便法を検討
前述の基本的な考え方を踏まえた上で、研究報告書では、中小会社の特性を考慮して簡便法等を認め、又は税法基準及び商法の観点から中小会社の会計処理上、特別の配慮が必要なものや留意点を16項目挙げている。具体的には、有価証券、税効果会計、退職給付引当金、キャッシュ・フロー計算書等である。
例えば、税効果会計については、原則として、「税効果会計に係る会計基準」及び「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」を適用すべきだが、繰延税金資産の回収可能性の判定方法については複雑であるので、中小会社向けには別途簡素化された実務的で合理的な方法が考慮されてもよいとしている。
http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/001/001-20020614-02.pdf
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