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国際的租税回避への対応を最重要課題と位置付け
渡辺裕泰新国税庁長官 就任インタビュー

 7月の人事異動で、国税庁長官に渡辺裕泰氏が就任した。早速、渡辺新長官に就任の抱負や国税当局に課された課題についてうかがった。
本誌: 就任に当たっての抱負をおうかがいします。

渡辺長官:
 私は、主税局で税制の立案を担当し(主税局担当審議官・主税局総務課長・主税局税制第一課長ほか)た他、東京国税局長などを務め、今回4年ぶりに、税務行政の現場に戻ってきたことになります。税務行政の責任者たる国税庁長官に就任し、責任の重さに身の引き締まる重いです。税務行政は、適正・公平な課税の実現を目標としておりますが、この目標を達成するために、納税者の理解と信頼が欠かせないとの思いを抱いております。「税は文化を作る」という先輩の言葉を胸におき、激動の環境に対応する税務行政の推進に努めたいと思います。

本誌: 税務行政の透明性・納税者サービスの向上の観点から、情報公開や実績評価について、今後の対応等をお聞かせ下さい。

渡辺長官:
  国税庁は、情報公開の請求件数が政府部内で最も多くなっています。国税庁は、情報公開室を設置して対応しています。税務行政の透明性の確保の観点から、国税庁保有文書の開示請求に適正に対応していく所存です。一方、国税職員には、一般公務員以上の守秘義務が求められております。不開示情報については、厳正に管理していくことにも努めなければなりません。実績評価については、行政の説明責任を全うすることに心がけてまいります。平成14年度の実施計画が行われており、本年9月には、平成13年度の実績取りまとめが行われます。

本誌:抜本的な税制改革の議論が行われておりますが、国税当局に課された課題は何だとお考えですか。

渡辺長官:
  政府税制調査会は、「あるべき税制の構築に向けた基本方針」を答申いたしました。それを受け国税当局としては、時代の変化に対応するよう次のような課題に取り組んでいく所存です。第1に、国際的な租税回避に対応していく体制を整備していくことです。就任早々ではありますが、東京局に「国際的租税回避スキーム解明PT」を設置するなどして取り組んでまいります。 第2に納税者の利便向上に努めてまいります。申告書・タックスアンサーの改善などを推し進めておりますが、さらに電子申告制度の導入を推進していきます。第3に滞納の圧縮を進めていきます。第4に課税処理の統一性・透明性の確保を推進します。法令解釈や適用指針の通達化を推進するとともに、文書回答を公表するなど、タックスリスクの軽減に努めてまいります。 最後に連結納税制度がスタートすることになります。国税職員の研修を充実させるとともに、事前相談の受入態勢を整備し、執行面の準備を行ってまいります。

本誌: これまでの勤務のエピソードをお聞かせください。

渡辺長官:
 私は、東京国税局長の時に管内税務署を回りました。その際、税務署の職員と同様の歩き方を心がけました。最寄駅や最寄のバス停から歩いて税務署に向かうことで、職員の通勤事情、税務署を取り巻く環境を肌で感じることができました。 また、滞納の圧縮は国税庁の最重要課題となっておりますが、特に預かり金的性格を有する消費税の滞納圧縮のために、消費税の滞納者を公共事業等入札対象から外す施策を打ち出しました。当初はなかなか理解してもらえず苦労しましたが、現在この施策がほぼ完璧に定着していることを聞き、隔世の感を持っております。その他、納税者の利便性向上のために、銀行の店舗に見られるような総合窓口化の施策を打ち出しましたが、現在一部の税務署で総合受付窓口が設置されるきっかけになったと思います。

本誌: 趣味や座右の銘などをお聞かせください。

渡辺長官:  
 
私は、学生時代、芝居に夢中になった時期があります。今でこそ、芝居を演ずることはありませんが、新劇・ミュージカル・謡・能・狂言などジャンルを問わず、観劇を楽しみにしています。また、(低)山歩きを趣味にしています。座右の銘は、「着眼大局着手小局」です。

本誌:ありがとうございました。

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(分類:その他 2002.7.31 ビジネスメールUP! 322号より )

 

 
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