どうなる2005年問題?
会計士協会が2005年問題プロジェクトチームを設置
日本公認会計士協会の奥山章雄会長は7月4日の記者会見で2005年問題に関するプロジェクトチームを設置したことを明らかにした。プロジェクトチームの委員長には、前国際会計士連盟(IFAC)会長の藤沼亜起氏(※写真)が就任。国際会計基準に関する調査や日本の対応などを協議することになる。
国際会計基準に関する調査など
EU域内においては、2005年から国際会計基準を全面適用することを明らかにしており、その他、オーストラリアや中国、韓国などもこれに追随する方向だ。現在、日本では、企業会計基準委員会(ASB)において会計基準の設定が行われているが、今後、国際会計基準に対してどのような対応をとるかが注目されている(いわゆる2005年問題)。
このため、2005年問題に関するプロジェクトチームでは、今後、国際会計基準に関する調査などを行うとともに、企業会計基準委員会、金融庁、経済界などと協議を行い、遅くとも2005年3月末までに日本の対応など、ある一定の方向性を打ち出す予定だ。
金融庁は容認の構え
7月1日に開催された国際会計フォーラム(主催:NPO法人国際会計教育協会)では、金融庁の羽藤秀雄氏(総務企画局参事官兼企業開示参事官)がゲスト参加し、私見ながら、日本においても米国会計基準同様に国際会計基準(IFRS)を適用することは可能であるとの柔軟な考え方を持っていることを示した。羽藤参事官は、基本的には企業会計基準委員会で判断することであるが、必ずしも国際会計基準にすべて合わせる必要はないとコメント。2005年には、90カ国以上が国際会計基準を適用するとされているが、数が問題ではなく、我が国の場合は、国際会計基準と異なることによって、どのようなコストを払うのかで考えるべきとしている。ただし、国際会計基準の作成に際しては、企業会計基準委員会から日本の立場をもっと国際会計基準審議会(IASB)に対して、発信していくべきであるとしている。
国際会計基準適用企業も
企業側からの観点からみると、国際会計基準が日本でも適用できることになれば、ヨーロッパにおいて資金調達を行いたい企業も出てくることが予想される。すでに東証第1部の日本電波工業では、国際会計基準適用による年次報告書(アニュアルリポート)を作成している。同社の場合は、海外顧客への売上比率が6割以上と高いといった理由などから、導入に踏み切ったものだ。
いずれにせよ、国際会計基準を適用するか否かに関わらず、日本での立場を早急に明確化しておく必要がありそうだ。2005年がもうすぐそこまで迫っている。
※
記事の無断転用や無断使用はお断りいたします
⇒著作権等について
レベルアップを望む方に最適!週刊「T&A
master」がお力になります!
週刊「T&A master」には、税務・会計・商法の情報が満載です。是非、ご購読ください。
(週刊「T&A master」027号(2003.7.14)「最重要ニュース」より転載)
(分類:その他 2003.9.22 ビジネスメールUP!
478号より
)
|