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繰欠2年延長で繰延税金資産はどうなる?

 

16年度税制改正で欠損金の繰越期間が2年延長へ
 与党の税制改正大綱によりますと、法人税制における青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越期間、青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越期間及び連結欠損金の繰越期間を現行の5年から7年に延長する案が提案されています(平成13年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金額が対象とされています)。
 これは、租税特別措置法第66条の12において、欠損金の繰越期間の特例として、産業活力再生特別措置法上の認定事業者の欠損金の一部に認められていた特例が一般化されるもので、長引く不況への対策の一つといえます。

AorBの攻防激化へ
 この改正案を受け、2003年12月19日に開催された企業会計基準委員会(ASB)では、日本公認会計士協会の監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」の5(1)における過去の業績等に基づき回収可能性を判断する場合の5つの例示区分のうち、BとC但書において繰延税金資産の回収可能性に関する将来の合理的な見積期間(下記の赤字部分)が5年とされているところ、7年に延長すべきではないかとの提案がありました。
 しかし、66号でいうところの5年は将来(中長期)の見積の限界を意味する期間に過ぎず、欠損金の繰越控除期間の5年と平仄を合わせたものではないため、見直しの可能性は低いといえます。繰欠の2年延長により、7年間のスケジューリングが認められますが、Bの区分ではそれにおおむね5年の枠がはめられるため、AとBのどちらに区分されるかにより繰延税金資産に計上可能な額が異なることとなります。今後、AとBの境界線を巡って会社と監査人との攻防が激化するものと思われます。



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  キーワード 「繰越欠損金」⇒ 14件

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週刊「T&A master」049号(2004.1.5)「なるほど知っ得情報」より転載)

(分類:会計 2004.3.12 ビジネスメールUP! 543号より )

 

 
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