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もてはやされる裏金・裏帳簿の落とし穴

 「裏金・・・」「裏帳簿・・・」などの書籍が売れているそうです。早速、書店に出掛けて確認しました。要は、まじめに納税している者は愚かで、自分の会社(零細企業)を守るために所得分散などをしたほうがいい、税理士は何もわかっていない、上手に銀行融資を受けるためには裏テクニックが必要、などといった内容でした。零細企業存続のためなら「手段を選ばず」という趣旨でしょう。
 確かに、切羽詰った資金繰りという現場では、このような考えかたもあるのでしょうが、読後感はあまり良いものではありませんでした。

 インターネットでも、盛んに「節税のすすめ」が喧伝されています。ただ、節税の正体が実は「変額保険の販売」だった、なんて話もあります。「節税」は善で、「脱税」は悪、と間単に区分できないことは読者の皆様ならよくご承知のハズです。また、無敵のマニュアルなどはなく、常に、自己責任が付きまとうこと、「節税」と「脱税」の間には、「過度な節税」というものがあることもご承知でしょう。

 ある「過度な節税」手法が生まれれば、そのリスクを甘受して実行した者がメリットを受けますが、その手法が一般化してくると、税務当局のアンテナにキャッチされ、一斉に封殺されるということが、過去幾度となく行なわれてきました。相続税の節税策が好例ですが、先発組はメリットを享受し、後発組はそのツケを払うという図式です。
 したがって、巷で言われる「究極の節税」などは、究極でもなんでもないということになります。巷で喧伝されていること自体既に手法が一般化しているのですから。食い物にされるのがオチでしょう。

 ともかく、節税がもてはやされるということは、景気が回復してきている証拠です。それはそれで良いことですが、どんな手段を使っても勝てばいい、他人を欺いた方がトク、という風潮にやるせなさを感じるのは私だけではないはずです。 (Y)

 

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(分類:税務 2004.9.24 ビジネスメールUP! 619号より )

 

 
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