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電話加入権廃止で表面化する4兆6,000億円の後始末
即時償却か段階的償却かの調整続く


 税務上の非減価償却資産である「電話加入権」が廃止される模様だ。総務省がとりまとめた「平成17 年度以降の接続料算定の在り方について」(7月27日公表:パブリックコメントは8月27日で終了)によれば、加入権廃止に伴う問題点も指摘されているものの、最終的にはNTTの判断で「電話加入権」は廃止され、17年3月には省令改正が行われる予定だ。
 ただ、ここで問題となるのは、既に資産計上されている総額4兆6,000億円の加入権の後始末である。加入権廃止により即時の償却が認められることとなると、国側にとってかなりの減収となるだけに、どのような決着となるか要注目である。
 
年々減少を続けてきた電話加入権
 固定電話に係る「電話加入権」は、正式には「施設設置負担金」であり、財産として位置付けられるものの、NTT側から返還されることはない。加入企業側の処理は、資産計上であり、税務上は非減価償却資産である。最近の状況でみると、携帯電話の普及やライトプランの導入により、電話加入権の支払額は年々減少してきていた。純然たる電話加入権(施設設置負担金)は平成12年で360億円あったが、平成15年には64億円と急速に減少している。
 また、ライトプラン(契約当初に電話加入権相当額の負担はないものの、一定額が月々の使用料に加算される契約タイプ)に加入していても、実務的には、電話使用料と電話加入権代替分を区分経理しないから、電話加入権の費用化は既に進んでいたと見ることもできる。

段階的な償却?
 結果として、電話加入権の意義は失われ、実務上も意味をなさなくなってきたと言えるわけだが、大きな問題は、今まで積み上がってきている電話加入権資産の経理処理である。NTTによれば、電話加入権総額は4兆6,000億円に達するという。もちろん、そのすべてを企業が支払ったわけではないが、廃止に伴う企業側の経理処理の規模は小さくない。
 仮に、加入権廃止⇒即時償却となれば、法人税税収に大きな影響を及ぼすことは必至である。現在、総務省と財務省の間で調整が続いているが、携帯電話の新規加入料の廃止が5〜6年かけて段階的に廃止されたことなどを受け、税務上の償却も段階的に認められる可能性がある。
 電話加入権の廃止は決まりとしても、即時償却が認められるか それとも段階的償却しか認められないか、など、今回の廃止問題は実務家にとって要注目事項である。

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(分類:税務 2004.10.1 ビジネスメールUP! 622号より )

 

 
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