国税庁、「興銀訴訟最高裁判決を真摯に受け止めたい」
HPに「貸倒損失の損金算入に係る事前照会について」を掲載

 

国税庁は3月10日、ホームページ上に「平成16年12月24日最高裁判決を踏まえた金銭債権の貸倒損失の損金算入に係る事前照会について」を掲載した。これは、昨年12月24日、いわゆる「興銀税務訴訟」において、最高裁第二小法廷が「金銭債権の全額が回収不能であるかどうかは、債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念に従って総合的に判断されるべきもの」などと判示したことに対応するもの。国税庁は、この最高裁判決を受けて、納税者からの個別具体的な照会に対応するための窓口を設けるため、各国税局等への連絡先などを掲載している。

最高裁の判決内容
 金銭債権の貸倒損失を当該事業年度の損金の額に算入するためには、当該金銭債権の全額が回収不能であることを要すると解される。そして、その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならないが、そのことは、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情のみならず、債権回収に必要な労力、債権額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生ずる他の債権者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念に従って総合的に判断されるべきものである。

国税庁は個別具体的な照会を想定
 国税庁は、最高裁の判決内容について、「貸倒れの事実を客観的に明らかにするためには、法人税基本通達9−6−2(回収不能の金銭債権の貸倒れ)で規定されている事実認定にとどまらず、“その他の事情も総合的に勘案すべき”とする一歩踏み込んだ判決である。」と評価。また、この判決を受けて、一般の納税者から、「当社の事例も最高裁の判示に当てはまるのではないか」とする個別具体的な照会が寄せられることを想定し、HPにおける今回の対応に至っている。

将来的には通達の整備などの対応も検討
 ただ、国税庁は、現在のところ、「興銀税務訴訟」最高裁判決を踏まえた通達等による取扱いの変更や新たな指針を発遣する予定はないという。一方で、「最高裁の判示内容に当てはまるような事例については個々に判断したい。」と話し、事前照会を受け付けていく中で事例を蓄積し、国税庁としての見解が体系化できる状態にまで至れば、将来的に、通達の整備など所要の対応を検討する可能性があることを示唆している。
 今回の国税庁の対応は、司法の最高峰である最高裁の判断を「真摯に受け止めて」、通達の内容プラスアルファの要素も検討する姿勢を表すものと考えられる。なお、東京国税局においては、3月15日時点で、本件に関連する事前照会は寄せられていない。

   

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週刊「T&A master」107号(2005.3.21「最重要ニュース」より転載)

(分類:税務 2005.4.6 ビジネスメールUP! 692号より )

 

 
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