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会社への貸付金をDESで株式に転換するケースが増加
課税上は問題ないが、贈与税等に注意

 

 中小企業では、会社の資金繰りが苦しくなると、オーナー社長が会社に資金を貸し付けることが珍しくないが、オーナー社長が資金を貸し付けたまま死亡した場合には、当該貸付金は相続財産となり、相続税の課税対象となる。この場合、DESによりオーナー社長が有する会社への貸付金を株式に換えることにより、相続税の節税を図ろうとする動きもみられるようだが、本誌取材で、このような手法は総則6項とは無関係であることが確認されている。ただ、株式の発行価額によっては、贈与税の課税問題が発生する場合があるので注意が必要だ。

経営不振が続くならDESを選択すべき

 DES(デット・エクイティ・スワップ)とは、債権者の有する債権を株式に転換する手法のことで、バブル崩壊後経営不振に陥った企業の有利子負債削減のために活用されてきたが、最近では、税理士がこれを相続税の節税対策として利用するケースが増えてきているという。
 たとえば、社長が会社に対して3億円の貸付金を有する場合、当該貸付金は相続税の課税財産となり、その課税価格はそのまま3億円となるのが通常だ。しかし、デット・エクイティ・スワップを使ってこの3億円の負債を帳消しにするのと引換えに社長に株式を発行した場合には、相続税上のメリットが生じる可能性がある。当該株式を純資産価額方式により評価するとした場合、赤字が続くなど会社業績が不振であれば、将来の純資産価額は小さくなり、株式の評価額も下がるからだ。

地価の値上がり傾向も注視を

 このような手法が課税当局から問題視されるのではないかとの懸念を持つ税理士もいるが、本誌の取材により、基本的には財産評価基本通達総則6項とは無関係であることが確認されている。
 ただ、純資産価額方式では、株価に会社が保有する資産の「含み益」が反映されることになる。このため、たとえ赤字が続いているような経営不振会社であっても、土地等の含み益が大きい場合には、株価が高額になる可能性があることに注意しなければならない。特にここ最近は都市部を中心に地価が上昇傾向にあることも念頭におく必要があろう。
 また、贈与税の問題にも注意する必要がある。たとえば、3億円の貸付金に対して等価の株式を発行するのであれば贈与税の問題は生じない。
 しかし、たとえば、価額2億円相当の株式しか発行しなかった場合には、1株当たりの価値が上がることになり、オーナー社長から他の株主に対する贈与の問題が生じることになる。

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  キーワード 「貸付金」⇒153

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タイトル
登録日
会計 消費者金融の利息返還請求による引当金計上の監査の取扱いが決定 2006-10-13
税務 債務超過等のみならず、事業経営が客観的に破綻していることが必要 2006-10-09
資料 銀行の平成10年3月期における有価証券報告書中、貸倒引当金の計上について、当時の公正な会計慣行に照らして過少計上はないとして、同有価証券報告書について監査法人が付したいわゆる無限定適正意見が有価証券法24条の4にいう虚偽記載には当たらないとされた事例 2006-09-27
会計 消費者金融の利息返還請求による引当金計上の監査の取扱い案が公表 2006-09-25
コラム まるわかり一週間 2006-09-18
コラム 法人税法の寄付金の範囲は広過ぎないか? 2006-09-18
(以上、最新順)  

 

週刊「T&A master」179号(2006.9.18「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2006.10.20 ビジネスメールUP! 907号より )

 

 
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