平成19年の相続等に適用される財産評価基本通達の改正を公表
意見公募案を通達化するも、課題が山積
国税庁は11月14日、平成19年1月1日以後に相続、遺贈または贈与により取得した財産の評価に適用される財産評価基本通達(以下「評価通達」という)の一部改正を同庁のホームページ上に公表した。路線価方式により評価する場合の奥行価格補正率表等の改正、取引相場のない株式の評価方法の改正などが盛り込まれた。
株式評価の改正は会社法等に準拠
評価通達の一部改正は、会社法など関係法令の改正等に伴い、法令(条文)の読替えなどが数多く生じているため、広範なものになっているが、実質的な内容では、@奥行価格補正率表等の改正(今号10〜12頁参照)、A国税局長の指定する株式の廃止、B類似業種比準方式の改正、C配当還元方式の改正、が行われた。
類似業種比準方式の改正では、@「資本金50円換算」方式の「資本金の額」を「資本金等の額」により計算すること、A簿価純資産価額・発行済株式数から自己株式(数)を控除すること、B「1株当たりの配当金額」の計算において、「直前期末以前2年間における剰余金の配当金額」を基に計算し、剰余金の配当のうち資本の払戻しに該当するものを除くこと、にしている。
配当還元方式の改正においても、「資本金等の額」を50円とした場合の計算方法に改正した。
パブコメ案は無修正で
この評価通達の一部改正については、実質的な内容について意見公募手続が行われていた(本誌178号9頁参照)。
土地評価関係に寄せられた多様な意見に対しては、「奥行価格補正率等の数値は、専門調査機関による最近における土地利用等の実態に適合した実証性の高い調査結果に基づくもの」と国税庁は対応している。
また、株式評価関係に寄せられた「自己株式の価額を控除することで『資本金等の額』がマイナスとなる場合の懸念」に対しては、「取引相場のない株式としては稀な場合」であり、仮にマイナスとなったとしても対応できるとの考え方を国税庁は明らかにしている。
パブコメに付された評価通達の一部改正案は、何ら修正されることなく通達化されることになった。
期待される種類株式・医療法人の出資の評価は手当てせず
評価通達には、経済産業省、中小企業庁から中小企業の事業承継の円滑化に資する種類株式の評価の明確化、厚生労働省から医療制度改革に伴う医療法人の出資の評価についての見直しが期待されている。しかしながら、今回の評価通達の一部改正には反映されておらず、今後の年度税制改正の議論を眺めることになりそうだ。
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(週刊「T&A master」187号(2006.11.20「今週のニュース」より転載)
(分類:税制改正 2006.12.15 ビジネスメールUP!
930号より
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