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東京高裁も匿名組合を利用した国際的租税回避スキームを容認
課税庁は上告受理申立てを行い、最高裁の判断を仰ぐことに
東京高等裁判所第14民事部(西田美昭裁判長)は6月28日、匿名組合のしくみと日蘭租税条約の規定に着目した国際的租税回避スキームに対する課税処分の取消請求訴訟控訴審において、「税負担を回避するという目的それ自体は是認し得ないときもあろうが、税負担を回避するという目的から、本件資金を日本法人に提供する方法として匿名組合を組成するという方法を採用することが許されないとする法的根拠はないといわざるを得ないことは、原判決が判示するとおりである。」などと判示し、原審(東京地裁)の課税処分取消判決を支持する控訴棄却判決を言い渡した。
課税庁は7月12日、最高裁への上告受理申立てを行った。
事案の概要
Gグループの日本法人である日本G社は、日本国内における医療機器事業の営業を譲受ける契約(対価10億円)を締結し、その資金をGグループから調達することにした。会社の運営コストなどの理由から、Gグループのオランダ法人が日本G社との間に日本の商法上の匿名組合契約を締結し、本件資金を匿名組合契約出資金として、出資するという方法により日本G社に提供することにした。
匿名組合契約では、組合契約に基づく利益分配金が損金算入され、日本G社には課税されない。しかも、日蘭租税条約の規定からすると、当該利益分配金がオランダにおいても日本においても課税されない可能性があることが見込まれた。
課税庁は、本件契約書の内容および本件事業の実態を総合すると、本件契約は、匿名組合契約ないしこれに準ずる契約ではなく、被控訴人(オランダ法人)と日本G社を構成員とし、日本G社を業務執行組合員とする任意組合契約に当たると解すべきであるとし、共同事業に該当し、国内源泉所得として我が国に課税権があるとして、オランダ法人に対して法人税決定処分等を行った。
第一審判決は、「本件契約の締結の大きな目的が税負担の回避にあるとしても、本件契約は、匿名組合契約であると認めざるを得ない。」「原告が本件契約に基づき日本G社から匿名組合分配金という名目で受領した金員は、日蘭租税条約23条に規定する所得(いずれにも該当しない所得)に該当するから、我が国には課税権がない。」などと判示して、課税処分を取り消した(本誌142号14頁参照)。
「非典型的匿名組合であり、日本にPEを有するというべき」と追加主張
控訴審では、控訴人が以下のような主張を行った。
@ 原判決の争点把握は誤りであり、原判決は、本件の争点が匿名組合契約か任意組合契約であるかの契約の解釈にあるとしているが、我が国の課税権の有無を検討するに当たっては、まず、わが国に恒久的施設(PE)を有しているか否かの認定判断をすべきである。
A 日本G社の事業拠点は被控訴人のPEと解すべきである。
また、控訴人は、控訴審における新たな主張を次のように行った。
B 仮に、本件組合が匿名組合の一種であると性質決定されたとしても、非典型的匿名組合契約であり、被控訴人が日本にPEを有するというべきである。
控訴審における新たな主張は、課税庁が第一審において予備的主張として主張していたものだが、第一審の争点整理において予備的主張が撤回された経緯があった。
さらに、課税庁は、オランダにも我が国にも課税権が生じないとする「租税回避スキームは、租税条約の趣旨にも反する」と主張した。
「契約の性質は法律等に基づいて決定すべき」
西田裁判長は、まず、「原裁判所は、双方に意向を聴取して適切に争点を把握した上、原判決の争点を摘示したものであると認められる。」として、原判決における争点把握の誤りの主張を斥けた。
次に、課税庁が主張するPEの認定判断について、「租税条約の適用に当たり、第一に検討すべきは、当該問題となっている所得(利益)が日蘭租税条約7条から22条までのいずれの所得に該当するかということである。控訴人の上記主張が以上のような判断過程を否定するものならば、到底採用できない。」と判示し、日蘭租税条約の規定により、所得の分類の判断が優先されるとの判断が示された。
課税庁の控訴審における新たな主張については、「本件契約の性質は、我が国の商法、その他我が国の法律及び日蘭租税条約に基づき決定すべきである。」・「我が国の商法、民法などのその他我が国の法律には、匿名組合、民法上の組合という制度を設けているが、業務執行型及び財産参加型非典型的匿名組合という制度に関する規定は存在しない。」・「本件契約において、我が国の商法に基づく匿名組合を設立したこと、本件契約は日本法に準拠することをそれぞれ本件契約書に規定し、本件契約は我が国の商法を準拠法として締結されたものであるから、我が国の商法、その他我が国の法律に予定されていない非典型的匿名組合という制度を当事者が想定して本件契約を締結したということはありえない。」などと判示して、課税庁の主張を斥けた。
「租税回避スキームは租税条約の趣旨にも反する」との主張については、「税負担を回避するという目的それ自体は是認し得ないときもあろうが、税負担を回避するという目的から、本件資金を日本法人に提供する方法として匿名組合を組成するという方法を採用することが許されないとする法的根拠はないといわざるを得ないことは、原判決が判示するとおりである。」と判示して斥けた。
課税庁の控訴は棄却されたため、課税庁は上告受理申立書を提出し、最高裁に判断を仰ぐことになった。
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(週刊「T&A master」222号(2007.8.6「今週にニュース」より転載)
(分類:税務 2007.9.21 ビジネスメールUP!
1035号より
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