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日星租税条約7条1項は企業への法的二重課税の禁止にとどまる
最高裁、タックスヘイブン対策税制は日星租税条約に違反せず

 最高裁判所第一小法廷(金築誠志裁判長)は平成21年10月29日、措置法66条の6第1項(タックス・ヘイブン対策税制)の規定が日星租税条約7条1項の規定に違反するか否かが争点となった事案で、日星租税条約7条1項前段は、企業に対する課税について規定したものと解するのが自然であり、同項が禁止または制限している行為は、企業に対する課税権の行使に限られるものと解するのが相当と判断。措置法66条の6第1項の規定が日星租税条約7条1項の規定に違反していると解することはできないとして、上告を棄却した。

外国法人の利得への課税は租税条約違反
 日星租税条約7条1項前段は、「一方の締約国の企業の利得に対しては、その企業が他方の締約国内にある恒久的施設を通じて当該他方の締約国内において事業を行わない限り、当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる」と規定している。
 上告人側は、同項が、企業の利得を対象とした規定であることから、外国法人の利得に対してわが国に恒久的施設がないにもかかわらず課税するものである措置法66条の6は、日星租税条約7条1項に違反するとの主張を行った。

7条1項は企業に対する課税の規定
 上告人側の主張に対して、判決は、日星租税条約7条1項後段が、他方の締約国(B国)に恒久的施設を有する一方の締約国(A国)の企業に対する課税について規定したものであることは文理上明らかだと指摘。後段は同項前段を受けた規定であることから、同項前段も、また、A国の企業に対する課税について規定したものと解するのが自然であり、すなわち同項は、A国の企業に対するいわゆる法的二重課税を禁止するにとどまるものであり、同項がB国に対して禁止または制限している行為は、B国のA国企業に対する課税権の行使に限られるものと解するのが相当とした。

禁止または制限の対象に含まれない
 そのうえで、措置法66条の6第1項の規定による課税が、あくまでわが国の内国法人に対する課税権の行使として行われるものである以上、日星租税条約7条1項による禁止または制限の対象に含まれないことは明らかと判断。措置法66条の6第1項の規定が日星租税条約7条1項の規定に違反していると解することはできないとした。
 

 

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  キーワード 「タックス・ヘイブン」⇒37

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登録日
資料 平成22年度税制改正大綱〜納税者主権の確立へ向けて〜 2009年 12月 28日
オフィシャル税務 グループ法人単体課税制度は平成22年10月1日から適用

2009年 12月 28日

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資料 平成21(行ヒ)199 所得税更正処分取消等請求事件

2009年 12月 04日

(以上、最新順)  

週刊「T&A master」329号(2009.11.9「今週のニュース」より転載)

(分類:税務 2010.1.25 ビジネスメールUP! 1358号より )

 

 
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