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被相続人死亡時の現在価値相当部分は所得税の課税対象とならず
最高裁、年金払生保の二重課税取消請求事件で逆転判決
最高裁判所第三小法廷(那須弘平裁判長)は7月6日、年金払生命保険の受取時の雑所得課税が二重課税となるか否かが争われた事案で、年金受給権に係る年金の各支給額のうち被相続人死亡時の現在価値に相当する部分は、所得税の課税対象とならないと判示。原判決(福岡高裁)を破棄する判決を言い渡した(平成20(行ヒ)16)。
同一の経済的価値に対する二重課税排除
本事案では、既報のとおり、6月8日に口頭弁論が開催され、最高裁判所の判断に注目が集まっていた(本誌358号8頁参照)。
判決で、那須裁判長は、所得税法9条1項15号の趣旨は、相続税または贈与税の課税対象となる経済的価値に対しては所得税を課さないこととして、同一の経済的価値に対する相続税または贈与税と所得税との二重課税を排除したものであると指摘。
そして、相続税法3条1項1号の保険金には、年金払いで受ける保険金(基本債権としての年金受給権)も含まれ、これは同法24条1項所定の定期金給付契約に関する権利に当たるものとした。
差額は運用益の合計額に相当
そのうえで、年金受給権のうち相法24条1項1号の規定による相続税の課税対象となる価額は、当該年金受給権の取得時の時価(将来にわたって受け取るべき年金の金額を被相続人死亡時の現在価値に引き直した金額の合計額に相当)であり、その価額と残存期間に受けるべき年金の総額との差額は、各年金の現在価値を元本とした場合の運用益の合計額に相当するものとした。
第1回目の年金、支給額と現在価値が一致
上記の判断から、那須裁判長は、これらの年金の各支給額のうち、被相続人死亡時の現在価値に相当する部分は、相続税の課税対象となる経済的価値と同一ということができ、所法9条1項15号により所得税の課税対象とならないと判示。
本事案の年金受給権に係る年金については、相続人の死亡日を支給日とする第1回目の年金であることから、その支給額と被相続人死亡時の現在価値が一致するものであり、その年金の額は、すべて所得税の課税対象とならず、これに対して所得税を課すことは許されないとした。
また、生命保険会社が年金について行った源泉徴収については、所法207条所定の生命保険契約等に基づく年金の支払いをする者は、その年金が同法の定める所得として所得税の課税対象となるか否かにかかわらず、その支払いの際に、所定の金額を徴収し、納付する義務を負うものであり、その徴収は適法と判示。所得税額控除、還付が適用できるものとしている。
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(週刊「T&A master」362号(2010.7.12「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2010.8.25 ビジネスメールUP!
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