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CCCの株価、TOB価格を上回る決定
大阪地裁、ナカリセバ価格+MBOによる増加価値分配価格=649円と決定

・ 大阪地裁、カルチュア・コンビニエンス・クラブの株主が申し立てた株式取得価格を649円と決定。
・ 松田裁判長、「公正な価格」を@ナカリセバ価格とAMBOによる増加価値分配価格を合算して算定。
・ Aの増加価値分配価格、MBO実施で増大が期待される価値を買収者と反対株主で1対1で分配。

 本事案は、MBOの一環として行われたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCCという。)による全部取得条項付種類株式の取得に反対した申立人(個人株主)が、会社法172条1項に基づき、保有していた全部取得条項付種類株式100株の取得価格の決定を裁判所に求めていたもの。買収目的会社は、MBOの一環としてCCCの普通株式1株につき600円で公開買付けを実施。公開買付けの後、CCCは上場を廃止していた。
 大阪地裁第4民事部の松田亨裁判長は4月13日、本件対象株式の取得価格は、本件取得日における公正な価格であり、具体的には、@本件MBOが行われることがなければ有していたであろう価格(ナカリセバ価格)とA本件MBOによって増大が期待される価値のうち反対株主が享受してしかるべき部分の価格(増加価値分配価格)とを合算して算定することになるとの判断を示した。
 松田裁判長は、@のナカリセバ価格は、本件取得日にできる限り近接したものとして、本件公開買付け公表前1か月間の市場価格の平均終値である469円とした。またAの増加価値分配価格は、「MBO実施後の増大が期待される対象会社の企業価値を前提とした株式価値」からナカリセバ価格を差し引いた「MBOの実施によって増大が期待される価値」を1対1で買収者と反対株主に分配したうちの反対株主に分配される1株当たりの株式価値であるとした。
 そのうえで、「MBO実施後の増大が期待される対象会社の企業価値を前提とした株式価値」はDCF法による評価方法が合理的であるとして、中立的な立場であるとしたプルータスの算定結果を参照し、830円が相当であるとした。松田裁判長は、この830円からナカリセバ価格469円を差し引いた361円が「MBOの実施によって増大が期待される価値」であり、この361円を1対1で分配した180円が本件対象株式の増加価値分配価格になると指摘。
 本件対象株式の取得価格は、ナカリセバ価格469円と増加価値分配価格180円とを合算した649円となると結論付けた。
 なお、本決定は申立人・相手方の双方から抗告の申立てがなく既に確定している。

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週刊「T&A master」453号(2012.6.4「今週のニュース」より転載)

(分類:会社法 2012.8.24 ビジネスメールUP! 1721号より )

 

 
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