第二次納税義務、時価の1/2で低額譲渡
審判所、財産の種類、数量の多寡、時価と対価の差額等を総合的に考慮
・ 国税徴収法39条の低額譲渡に該当するか否かで福岡国税不服審判所は6月15日、譲渡価格が時価のおおむね2分の1に満たない場合には、低額譲渡に当たると判断。納税者の主張を斥ける。
・ 「おおむね2分の1」は、譲渡価格が2分の1をある程度上回っても、諸般の事情に照らし低額譲渡に当たる場合があると解すべき。 |
本件は請求人である会社が消費税および地方消費税を滞納していた会社からマンション1棟全135戸のうち25戸分の譲渡を受けたが、国税徴収法39条に規定する著しく低い額の対価で譲り受けたとして、原処分庁から第二次納税義務の納付告知処分が行われたことを不服として審査請求に至ったものである。
請求人は、本件譲渡は独立の業者当事者として、お互いの諸事情を考慮のうえ、譲渡価額を2億8,120万円としたものであり、本件住戸の時価であると主張した。一方、原処分庁は、本件住戸の時価はパンフレット価格の総額である5億6,240万円であると主張。譲渡価額はパンフレット価格の2分の1であるとした。
審判所は、低額譲渡に該当するか否かは、財産の種類、数量の多寡、時価と対価の差額の大小等を総合的に考慮して、当該取引価格が、通常の取引額に比して社会通念上著しく低いと認められるか否かにより判断すべきであると指摘。値幅のある財産については、譲渡価格が時価のおおむね2分の1に満たない場合には、特段の事情のない限り、低額譲渡に当たるというべきであるとした。
また、「おおむね2分の1」については、譲渡価格が2分の1をある程度上回っても、諸般の事情に照らし低額譲渡に当たる場合があると解すべきであるとした。
本件の場合、住戸の時価はマンション竣工時から譲渡日までの約1年11か月が経過している時価の変動を考慮して5億3,083万8,389円と認定。譲渡価額2億8,120万円は時価の52.97%にすぎず、本件譲渡は低額譲渡に該当するとした。
結果、審判所は納税者の主張を斥け、原処分庁が行った第二次納税義務の告知処分を支持する判断を示した。
第二次納税義務制度
本来の納税義務者が納付すべき国税の法定納期限の1年前の日以後に、その財産について低額譲渡等の処分を行ったため、本来の納税義務者の財産に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足がある場合、低額譲渡等により権利を取得等した第三者に納付義務を負わせるものである。 |
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(週刊「T&A master」464号(2012.8.27「今週のニュース」より転載)
(分類:税務 2012.11.14 ビジネスメールUP!
1754号より
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