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取引相場のない株式の『物納新基準』相基通に明確化
発行会社の「総資本経常利益率」等の経営内容から収納を判断!

 国税庁は、平成14年8月9日、「取引相場のない株式の物納」についての新基準を盛り込んだ相続税法基本通達の一部改正をホームペ−ジに掲載した(下記リンク参照)。「取引相場のない株式の物納」については、平成14年度与党税制改正大綱に、「取引相場のない株式の物納について、物納の要件及びその取扱いの明確化を図る。」と明記されたところから、その内容が注目されていたが、国有財産を管理する財務省理財局と国税庁との間で、「取引相場のない株式の物納について」の取扱いが固まり、それぞれの通達改正で内容が明らかになった。

  「取引相場のない株式」は、基本的に、売却できる見込みのない有価証券として、管理又は処分をするのに不適当な財産に位置付けられ、物納の許可が困難なものとされてきた。

  これからの取扱いでは、株式発行会社について、

@ 直近2期における総資本経常利益率、売上高営業利益率及び総資本回転率のいずれか2つの指標が「法人企業統計調査」に  おける同業種の直近2年度の平均比率を超えていること
A 直近2期における当期利益(税引後)がマイナスとなっていないこと
B 直近2期において配当可能利益(当期未処分利益及びその他資本剰余金)があること

―のいずれの要件も満たし、売払いが確実に見込まれるなど、経営内容等から収納を適当と認める場合には、「売却できる見込みのない有価証券」に該当しないものとして処理することになる。

「取引相場のない株式の物納」を戦略的に構築することが可能に!
 国税当局は、このような取扱いが、取引相場のない株式の物納条件の緩和ではないことを強調している。これまでも、好況な株式については、物納を許可してきたことを説明している。しかし、これまでの取扱いが、「当該時点の発行会社の経営、特に財務内容の状況、収益性及び配当可能性の見込み等を勘案して、当該株式が合理的期間内に、適正な方法により、その時点における適正な価格で売却可能であると見込まれた場合」に「売却できる見込みのない有価証券」に該当しないものとして処理するとしていたことに比べて、物納の要件が明確化されたと評価することができる。

「総合力」「収益力」「投資効率」の3経営指標から収納を判断
 非公開株式の収納判断の基準となるのは、企業の代表的な以下の3経営指標である。
イ 総資本経常利益率=経常利益/総資本(期首・期末平均)
ロ 売上高経常利益率=経常利益/売上高
ハ 総資本回転率=売上高/総資本(期首・期末平均)

 これらの経営指標は、企業の「総合力」「収益力」「投資効率」を示す指標として知られている。上記の3経営指標の関係は、総資本経常利益率が、売上高経常利益率と総資本回転率を乗じたものになる。上記3経営指標のいずれか2指標が、同業種の平均比率を超えるためには、「収益力」「投資効率」を満たせば十分であり、仮に、「収益力」「投資効率」のいずれかが平均以下であっても、他の要素が道業種平均に飛びぬけていれば、「総合力」で平均比率を上回り、2指標が平均比率をクリアして収納の基準を満たすことができる。

自己株式の引受けは緩和されず
 改正相基通には、「物納後当該株式を買い受ける希望を有する者がいることが確認できる場合」を明らかにしているが、当該発行会社は買受希望者となれないことが、理財局での通達から明らかとなっている。この点でも物納条件の緩和とはなっていないので要注意である。

http://www.nta.go.jp/category/tutatu/kobetu/souzoku/47/01.htm

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(分類:税法 2002.8.9 ビジネスメールUP! 326号より )

 

 
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